ザクセン＝コーブルク

ザクセン＝コーブルク公国

ザクセン＝コーブルク公国（ドイツ語: Herzogtum Sachsen-Coburg）は、エルネスティン系ヴェッティン家の世襲による君主制国家でした。その居城は、オーバーフランケン地方のコーブルクに置かれていました。公家は断絶や相続に伴う分割により、何度か同族の公国に併合・分割されましたが、1826年にザクセン＝ゴータと合同（同君連合）してザクセン＝コーブルク＝ゴータ公国となり、ドイツ革命による君主制廃止まで続きました。

歴史

エルネスティン家

1347年にヘンネベルク＝シュレージンゲン伯ハインリヒ8世が亡くなった際、ヘンネベルク＝シュレージンゲン家の所領は未亡人ユッタ・フォン・ブランデンブルクとハインリヒ8世の弟ヨハンの間で分割されました。1346年にユッタの娘カタリーナ・フォン・ヘンネベルクと結婚したヴェッティン家のマイセン辺境伯フリードリヒ3世は、嫁資としてコーブルクを要求しましたが、ハインリヒ8世の反対で叶いませんでした。しかし、ユッタの死後、カタリーナがコーブルクを相続したため、フリードリヒ3世はコーブルクを手に入れることができました。こうしてコーブルクはザクセン最南部の領土となりました。

1485年にザクセン選帝侯領が分割された際、コーブルクはテューリンゲン方伯領の一部としてエルンストの所領となり、以降エルネスティン家に受け継がれていきました。

ヨハン・エルンスト公

テューリンゲンのエルネスティン家領は、1547年のシュマルカルデン戦争での敗北により大幅に削られました。ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒ1世はミュールベルクの戦いで敗れて捕縛され、選帝侯位を剥奪された上に帝国アハト刑に処されましたが、1552年のパッサウの和約でザクセン公の肩書とテューリンゲンの領地だけは確保できました。ザクセン＝コーブルク公ヨハン・エルンストはコーブルクの所領を安堵されましたが、ヨハン・フリードリヒ1世の処遇について一切手出しを許されませんでした。ヨハン・エルンストは新たな居城としてエーレンブルク城を建設し、後のザクセン＝コーブルク公もここに住み、拡張が行われました。ヨハン・エルンストは1553年に子女なく亡くなり、釈放されたヨハン・フリードリヒ1世がザクセン公となりましたが、翌1554年に亡くなりました。

共同統治

コーブルクの領主はヨハン・フリードリヒ1世の息子ヨハン・フリードリヒ2世となり、ヴァイマルに宮廷を置いた長弟ヨハン・ヴィルヘルムと末弟ヨハン・フリードリヒと共にゴータに宮廷を置いて統治しました。末弟ヨハン・フリードリヒが若くして亡くなり、エルネスティン家領が再分割されることになると兄弟に諍いが起き、3年ごとに見直すことが取り決められました。ヨハン・フリードリヒ2世はゴータ、アイゼナハ、コーブルクを統治していましたが、1566年に盗賊のヴィルヘルム・フォン・グルンバッハに焚き付けられて選帝侯位を奪還すべく神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世に反乱を起こし、失敗して帝国アハト刑に処されたうえ死去まで獄中に留められました。ヨハン・フリードリヒ2世の所領は弟ヨハン・ヴィルヘルムのものとなりましたが、今度はヨハン・ヴィルヘルムがフランス王シャルル9世と同盟して皇帝の不興を買ってしまいました。

ヨハン・カジミール

マクシミリアン2世は、1572年のエアフルトの分割によりヨハン・ヴィルヘルムが手にした領地をヨハン・フリードリヒ2世の2人の息子との間で再分割させました。ヨハン・ヴィルヘルムはイェーナ、アルテンブルク、ザールフェルトなどを含むザクセン＝ヴァイマルの領主となり、ヨハン・フリードリヒ2世の子息ヨハン・カジミールとヨハン・エルンストにはテューリンゲン南部のコーブルクと西部のアイゼナハが与えられました。ヨハン・カジミールとヨハン・エルンストは未成年であったためザクセン選帝侯アウグストが後見人となり、その監督下で教育を施すこととなりました。

1586年にザクセン選帝侯アウグストが亡くなると、ヨハン・カジミールとその弟ヨハン・エルンストが領主となり共同統治を行いました。1596年にはヨハン・エルンストがザクセン＝アイゼナハの領地を得て独立し、以降コーブルクはヨハン・カジミールの単独統治となりました。ヨハン・カジミールはコーブルクの統治基盤を整備し、官僚機構を確立しました。1633年、ヨハン・カジミールは子女なく亡くなり、ザクセン＝コーブルクをヨハン・エルンストが継承したことでザクセン＝コーブルクとザクセン＝アイゼナハは合同してザクセン＝コーブルク＝アイゼナハ公国となりました。しかし、ヨハン・エルンストにも子女がなく、領土再編は不可避でした。また、三十年戦争の影響でコーブルクを何度も軍隊が通過したため国力は大いに疲弊し、人口は激減しました。

相続

1638年、エルネスティン系のコーブルク＝アイゼナハ家が断絶し、その所領はザクセン＝ヴァイマルとザクセン＝アルテンブルクに分割されました。1640年に兄弟間の分割相続協定により、コーブルク地方のうち、コーブルク、ゾンネフェルト、ゾンネベルク、ノイハウス、ノイシュタット、ヒルトブルクハウゼンおよびレムヒルトはザクセン＝アルテンブルク公フリードリヒ・ヴィルヘルム2世の所領となりました。この際、アルテンブルクとコーブルクは同君連合となり、 それぞれ個別の統治機構が残されました。フリードリヒ・ヴィルヘルム2世は1669年に亡くなり、さらにその跡を継いだフリードリヒ・ヴィルヘルム3世が3年後に亡くなると、ザクセン＝アルテンブルク家も絶えてしまいました。このためコーブルク地方を含めたアルテンブルク公領の4分の3は、1672年にザクセン＝ゴータ公エルンスト1世が継承しました。

アルブレヒト公

コーブルクの居城をバロック様式に改築したのはアルブレヒトでした。彼は彼の王室と王子の同時代人の習慣に自分自身を向け、コーブルクの模造ミニチュアを試みました。1690年に焼失したエーレンブルク城をバロック様式の宮殿として再建したことで、公国は極端な財政難に陥りました。アルブレヒトは子女のないまま1699年に亡くなり、その遺領は他の兄弟に分割されました。

フランツ・ヨシアス公

ザクセン＝コーブルク＝ザールフェルト公ヨハン・エルンストが1729年に亡くなると、遺言によりクリスティアン・エルンストとフランツ・ヨシアスが所領を共同で相続しましたが、クリスティアン・エルンストはザールフェルト、フランツ・ヨシアスはコーブルクに宮廷を置く二重宮廷となりました。フランツ・ヨシアスは多数の子女で領地を分割相続するのは公家断絶の元であると考え、1747年には神聖ローマ帝国の認可を受けて継承法を長子相続に改めました。1806年に神聖ローマ帝国が消滅するとザクセン＝コーブルク＝ザールフェルト公国として独立し、1826年にはザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク家断絶に伴うエルネスティン系諸公国の領土再編によりザクセン＝コーブルク＝ゴータ公国となりました。この際、ザクセン＝コーブルク公国とザクセン＝ゴータ公国の同君連合の形を採りましたが、この連合関係は1918年11月のドイツ革命を経て1919年4月12日に分離条約が締結され、ザクセン＝ゴータ自由州とコーブルク自由州に分離するまで続きました。

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