ザルメイ・ハリルザド

ザルメイ・ハリルザドの経歴と外交活動

ザルメイ・ハリルザドは、1951年3月22日にアフガニスタンで生まれました。彼はスンニ派のイスラム教徒で、母国アフガニスタンのマザーリシャリーフ市で育ちました。父はパシュトゥーン人、母はタジク人であり、彼の多様なバックグラウンドがその後の政治活動に影響を与えたことでしょう。

彼は1968年にガジ貴族学校を卒業した後、レバノンのベイルート・アメリカン大学で学び、学士号と修士号を取得します。その後1979年にはシカゴ大学で政治学の博士号を取得し、政治学者アルバート・ウォルステッターのもとで研究を行いました。1980年代には、コロンビア大学国際公共政策大学院で助教授として教鞭を執り、国際的な政策に関する知見を深めました。

1982年からは、様々な戦争と平和に関連する研究機関で活動し、1985年にはアメリカ合衆国国務省に入省しました。国務省では、イラン・イラク戦争とソ連のアフガン侵攻に関わる政治問題の担当特別顧問を務め、1980年代にはムジャーヒディーンの行動調整にも関与。この時期に、彼はアメリカの石油会社ユノカルのアフガニスタンプロジェクトにも関わるなど、国際的な戦略に関しては非常に重要な役割を果たしました。

その後、1990年代に入ると、ランド研究所の上級政治学者や、カリフォルニア大学の講師としても活動を続け、重要な研究プロジェクトに関与しました。1991年から1992年まで、国防次官補として政治計画を担当し、その後は中東研究センターの設立や、ブッシュ政権の国防総省移行チームのリーダーなど、様々な役職を歴任しました。

特に注目すべきは、2003年から2005年まで駐アフガニスタン大使としての役割です。この際、彼はアフガニスタン政府の構築に関与し、ハーミド・カルザイ大統領との信任状交付式を通じて、その信頼を得ました。また、2005年から2007年には駐イラク共和国特命全権大使として、イラク戦争後の政府構立にも寄与しました。

2007年から2009年にはアメリカの国連大使として、イランの核問題や南オセチア紛争におけるロシアとの対立など、多くの国際的な問題に取り組みました。2018年から2019年にかけては、トランプ政権下でアフガニスタン和平担当特別代表として、ターリバーンとの交渉を主導し、和平プロセスに向けた重要な合意を結ぶことに成功しました。

2020年にはドーハでターリバーンとの和平合意に署名し、アフガニスタンの未来を見据えた錯綜した関係を改善するための努力をまとめました。ただし、2021年10月には国務省が彼の辞任を発表し、その外交活動に一区切りがつくこととなりました。

著書

ハリルザドは、外交官としての経験を活かし、いくつかの著書も執筆しました。主な著作には、「過去15年間におけるロシア領内での米空軍の戦闘作戦」や「アッラーの政府：イラン・イスラム共和国」などがあり、特に冷戦後の国際情勢についての貴重な視点を提供しています。

彼の活動は、アメリカ合衆国の外政において重要な位置を占め、アフガニスタンやイラクの情勢に深く関与してきたことから、彼の影響力はいまだに感じられます。

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