ザンクト・ゲオルク (装甲巡洋艦)

ザンクト・ゲオルク (Panzerkreuzer der St. Georg)

ザンクト・ゲオルクは、オーストリア＝ハンガリー帝国海軍が1905年に完成させた装甲巡洋艦です。この艦は、同型艦が存在しない特異な設計を持ち、聖ゲオルギウスに因んで名付けられました。建造は、周辺国のイタリア海軍の装甲巡洋艦整備が進む中で、オーストリア＝ハンガリー帝国が更なる海軍力の増強を目指し、1900年に正式に議会で承認されたものです。

艦形と設計

本艦は主に波の穏やかなアドリア海での運用を考慮して設計されており、低い乾舷の平甲板型を持ちます。艦首水線下には衝角も装備され、攻撃力を高めています。艦の武装は、前甲板に24cm連装式主砲塔1基、後甲板に19cm単装砲、及び中央部に艦橋と2本のミリタリー・マストが配置されています。

主砲は、クルップ社製の24cm（40口径）砲を採用しており、発射速度は分間1.5発で、最大射程は16,900ｍです。また、艦側および艦首尾に副砲や速射砲が配置され、合計で多様な攻撃手段を持っています。特に、敵の小型船舶に対処するための7cm速射砲も積まれており、近接迎撃能力を強化しました。

運用と歴史

1895年に竣工したザンクト・ゲオルクは、1907年にはアメリカ親善航海を行い、続いて1913年にはバルカン諸国への航海も実施しました。第一次世界大戦開戦前の1914年8月、彼女はオーストリア＝ハンガリー帝国海軍の主力艦隊として出撃しましたが、結局ドイツ海軍と合流せずに帰還することとなりました。

1915年にはイタリアがオーストリア＝ハンガリーに宣戦布告し、ザンクト・ゲオルクは艦砲射撃を行いインフラに損害を与えました。さらに、その後も敵の沿岸地域への砲撃を続け、戦争中において軍事行動を活発に展開しました。

1917年のオトラント海峡海戦では、襲撃部隊の支援任務を遂行。翌1918年にはカッタロ軍港で水兵たちが反乱を起こし、これに対抗するための部隊が派遣されるなど、内部でも緊張した状況が見られました。この反乱によって数名が処刑され、軍艦としての役割は次第に縮小されていきました。

解体とその後

1918年10月、ザンクト・ゲオルクは軍艦としての役目を終え、司令部用の施設へと転用されましたが、1920年のパリ講和会議でイギリスへの賠償艦として指定されました。その後、イタリアに回航されて解体処分されることとなります。多くの艦艇が歴史の中で役割を果たす中、ザンクト・ゲオルクもまたその波間に消えていきました。

参考文献

• - Conway All The World's Fighting Ships 1860-1905
• - The Naval Policy of Austria-Hungary 1867-1918

関連項目

• - オーストリア＝ハンガリー帝国海軍
• - オーストリア＝ハンガリー帝国海軍艦艇一覧

この艦は、オーストリア＝ハンガリー帝国の海軍史において重要な役割を果たし、その設計や戦歴は専門家によって今も研究されています。

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