ザ・ウィメン

『ザ・ウィメン』（原題：The Women）は、1939年に公開されたアメリカ映画です。舞台は1930年代のニューヨーク。この作品は、1936年にニューヨークで初演されたクレア・ブース・ルースの同名戯曲を映画化しており、華やかな女性社会とその複雑な人間関係を鮮やかに描き出しています。

監督を務めたのは、ハリウッド黄金期を代表する巨匠、ジョージ・キューカー。主演は、ノーマ・シアラー、ジョーン・クロフォード、ロザリンド・ラッセルという、当時を代表する人気女優3名です。特筆すべきは、本作が男性キャストを一切起用していない点です。女性の視点から、女性同士の友情、嫉妬、恋愛、そして社会的地位など、様々な側面が描かれています。

脚本は、アニタ・ルースとジェーン・マーフィンが担当し、F・スコット・フィッツジェラルドとドナルド・オグデン・ステュアートもクレジットなしで参加したとされています。豪華なスタッフ陣も本作の魅力を高めています。撮影監督にはオリヴァー・T・マーシュ、美術にはセドリック・ギボンズ、衣装デザインはエイドリアンと、各分野の第一人者が集結しました。

映画の見どころの一つは、劇中に登場するファッションショーのシーンです。このシーンは、テクニカラー方式で撮影されており、1930年代の華やかなファッションを鮮やかに映し出しています。モノクロームが基調の作品の中に、このテクニカラーのシーンが彩りを添えています。

日本では長らく劇場公開されていませんでしたが、アテネ・フランセ文化センターなどで上映された記録があります。2007年には、アメリカ国立フィルム登録簿に登録され、その歴史的価値が認められています。

『ザ・ウィメン』は、公開から幾度かリメイクされています。1956年には『The Opposite Sex』としてミュージカル映画化されましたが、日本での公開はありませんでした。そして、2008年には、ミック・ジャガーがプロデューサーとして参加したリメイク版が制作され、メグ・ライアンやアネット・ベニングが出演しました。こちらも日本での劇場公開はされず、『明日の私に着がえたら』というタイトルでDVDが発売されました。

キャスト陣も豪華です。ノーマ・シアラーが演じるのは、裕福な家庭の主婦メアリー・ヘインズ。ジョーン・クロフォードは、社交的で魅力的なクリスタル・アレンを演じています。ロザリンド・ラッセルは、メアリーの友人シルヴィア・ファウラーを演じ、彼女たちの友情と競争が物語の中心となります。他に、メアリー・ボーランド、ポーレット・ゴダード、フィリス・ポヴァー、ジョーン・フォンテインなど、実力派女優たちが脇を固めています。興味深いのは、フィリス・ポヴァーとマージョリー・メインが、1936年の舞台版にも出演していた点です。

『ザ・ウィメン』は、女性の視点から描かれた、時代を超えて愛される名作です。女性たちの友情、恋愛、社会生活、そしてそれぞれの生き様を繊細かつ大胆に描いた物語は、現代の観客にも多くの共感を呼ぶでしょう。男性が一切登場しないことで、女性たちの世界がより鮮やかに際立ち、彼女たちの複雑な感情や関係性が深く掘り下げられています。豪華なキャスト、スタッフ陣、そして1930年代の華やかな世界観も相まって、『ザ・ウィメン』は、何度観ても新しい発見がある、魅力あふれる映画と言えるでしょう。

もう一度検索