ポーレット・ゴダード

ポーレット・ゴダード（Paulette Goddard, 本名: Pauline Marion Levy, 1910年6月3日 - 1990年4月23日）は、アメリカ合衆国出身の女優で、その華やかなキャリアと私生活で注目を集めました。ニューヨーク市クイーンズ区で生まれた彼女は、幼少期に両親の離婚を経験し、母親に育てられました。

モデルとしてのキャリアをスタートさせた後、1926年に映画界に足を踏み入れ、翌年には舞台にも進出しました。その多才ぶりを発揮し始めた矢先の1927年、裕福なビジネスマンと結婚しますが、1930年には離婚という結果を迎えます。1929年にはハリウッドへと活動の拠点を移し、ハル・ローチのスタジオと契約し、ローレル&ハーディの短編映画などに出演しました。その後、サミュエル・ゴールドウィンの下でエディ・カンターの作品などにも出演し、着実にキャリアを積み重ねていきます。

1932年、ポーレット・ゴダードの人生において大きな転機となる出来事が起こります。チャールズ・チャップリンとの出会いです。二人は公私にわたるパートナーとなり、『モダン・タイムス』や『独裁者』といった名作で共演を果たしました。1936年にはチャップリンと共に日本を訪れるなど、その関係は国内外で注目を集めました。チャップリン作品以外にも、ジャネット・ゲイナー主演の『心の青春』やボブ・ホープ主演の『猫とカナリヤ』など、数々の作品でその存在感を示しました。

1942年にチャップリンとの関係を解消した後、1944年には俳優のバージェス・メレディスと再婚します。前年の『So Proudly We Hail』ではアカデミー助演女優賞にノミネートされるなど、女優としての評価も高まります。晩年は4人目の夫である作家エーリヒ・マリア・レマルクと共にスイスで静かに暮らしました。

彼女は「チャールズ・チャップリンの3番目の妻」として知られてきましたが、チャップリン研究の第一人者である大野裕之氏の調査によると、二人は法的には籍を入れておらず、事実婚の関係であったとされています。しかし、チャップリン自身は自伝の中でポーレットのことを「妻」と明記しています。また、デヴィッド・O・セルズニックの邸宅の近所に住んでいたため、『風と共に去りぬ』の主役候補として名前が挙がり、実際にスクリーンテストの映像も残されています。ニューヨーク大学の関連施設には、彼女の名を冠した『ゴダード・ホール』があり、その功績を称えています。

ポーレット・ゴダードの主な出演作品は以下の通りです。

『カンターの闘牛士』(1932)
『極楽兵隊さん』(1932)
『モダン・タイムス』(1936)
『心の青春』(1938)
『ザ・ウィメン』(1939)
『猫とカナリヤ』(1939)
『チャップリンの独裁者』(1940)
『北西騎馬警官隊』(1940)
『セカンド・コーラス』(1940)
『絶海の嵐』(1942)
『森林警備隊』(1942)
『ハリウッド宝船』(1945)
『ジャン・ルノワールの小間使の日記』(1946)
『ハリウッド・アルバム』(1947)
『征服されざる人々』(1947)
『戦乱の花嫁』(1949)
* 『目撃者は語らず』(1954)

彼女の人生は、映画界の黄金期を彩った女優としての華やかさと、激動の時代を生き抜いた女性としての強さを併せ持っていました。ポーレット・ゴダードは、その類まれな才能と魅力で、観客を魅了し続けたのです。

参考文献:
大野裕之『チャップリン・未公開NGフィルムの全貌』NHK出版、2007年、ISBN 978-4-14-081183-2

外部リンク:
ポーレット・ゴダード - allcinema
ポーレット・ゴダード - KINENOTE
Paulette Goddard - IMDb（英語）

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