ザ・ウォール〜ライブ・イン・ベルリン

1990年にリリースされたロジャー・ウォーターズのライブ・アルバム『ザ・ウォール〜ライブ・イン・ベルリン』（The Wall - Live In Berlin）は、同年7月21日にドイツの首都ベルリンで行われた同名の再現コンサートの模様を収録した2枚組作品です。この公演は、ピュア・サウンド・コンサート・シリーズの一環として、冷戦終結後の和解の象徴ともいえる地で実現し、音楽史においても重要な位置を占めるイベントとなりました。コンサートの映像は同名のビデオとして発売され、後にDVDとしても再発されています。

このベルリンでの『ザ・ウォール』再現ライブは、その空前の規模と豪華な参加アーティストで大きな注目を集めました。およそ20万人もの観客が会場に詰めかけ、ロジャー・ウォーターズを中心に、実に多様なジャンルから著名なゲストミュージシャンが集結しました。参加者には、スコーピオンズ、トーマス・ドルビー、シネイド・オコナー、シンディ・ローパー、ジョニ・ミッチェル、ブライアン・アダムス、ヴァン・モリソンといった錚々たる顔ぶれが含まれています。

演奏陣においても注目すべきメンバーがいます。リード・ギターを担当したスノウィー・ホワイトは、ピンク・フロイドのサポート・メンバーとして『ザ・ウォール』オリジナルツアーにも参加しており、その後シン・リジィでの活躍でも知られています。また、ロジャー・ウォーターズ自身はボーカル、ベース、アコースティックギター、リズム・ギターを担当しました。

コンサートのセットリストは、ピンク・フロイドのアルバム『ザ・ウォール』の楽曲を中心に構成されていますが、一部にオリジナルのアルバムとは異なる変更がありました。特に終盤のクライマックスを飾る曲として、アルバムを締めくくる「アウトサイド・ザ・ウォール」の代わりに、ロジャー・ウォーターズのソロ・アルバム『RADIO K.A.O.S.』からの楽曲「流れが変わる時〜ライヴ・エイドが終わって〜」が演奏された点が特筆されます。

このライブ・アルバムに収録されている楽曲は以下の通りです。

ディスク1

1. イン・ザ・フレッシュ
2. ザ・シン・アイス
3. アナザー・ブリック・イン・[ザ・ウォール]
4. ザ・ハピエスト・デイズ・オブ・アワ・ライヴズ
5. アナザー・ブリック・イン・[ザ・ウォール]
6. マザー
7. グッバイ・ブルー・スカイ
8. エンプティ・スペーシズ
9. ヤング・ラスト
10. オー・マイ・ゴット-ホワット・ア・ファビュラス・ルーム
11. ワン・オブ・マイ・ターンズ
12. ドント・リーヴ・ミー・ナウ
13. アナザー・ブリック・イン・[ザ・ウォール]
14. グッバイ・クルエル・ワールド

ディスク2

1. ヘイ・ユー
2. イズ・ゼア・エニバディ・アウト・ゼア
3. ノーバディ・ホーム
4. ヴィーラ
5. ブリング・ザ・ボーイズ・バック・ホーム
6. コンフォタブリー・ナム
7. イン・ザ・フレッシュ
8. ラン・ライク・ヘル
9. ウェイティング・フォー・ザ・ワームズ
10. ストップ
11. ザ・トライアル
12. 流れが変わる時〜ライヴ・エイドが終わって〜/アウトサイド・ザ・ウォール

この壮大なパフォーマンスを支えた参加ミュージシャンおよび団体は非常に多岐にわたります。中心となったロジャー・ウォーターズの他、前述のゲストアーティストに加え、ザ・カンパニー、ザ・バンド（リック・ダンコ、リヴォン・ヘルム、ガース・ハドソン）、ザ・フーターズ（エリック・バジリアン、ロブ・ハイマン、ジョン・リリィ、フラン・スミス・ジュニア、デヴィッド・ウォシキネン）といったバンドが参加しました。また、ロジャー・ウォーターズのバックバンドとしてザ・ブリーディング・ハーツ・バンド（リック・ディ・フォンゾ、スノウィー・ホワイト、アンディ・フェアウェザー・ロウ、ピート・ウッド、ニック・グレニー＝スミス、グラハム・ブロード、スタン・ファーバー、ジョー・シメイ、ジム・ハース、ジョン・ジョイス）が参加。さらに、The Rundfunk Orchestra（マイケル・ケイメン指揮）、The Rundfunk Choir、The Marching Band of the Combined Soviet Forces in Germany、そしてチーフタンズのメンバーであるパディ・モローニ（ティン・ホイッスル）も演奏に加わり、この歴史的なイベントを多角的に彩りました。

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