ミート・イズ・マーダー

『ミート・イズ・マーダー』（Meat Is Murder）は、イギリスのロックバンド、ザ・スミスが1985年2月にリリースした2枚目のスタジオアルバムです。コンピレーション・アルバム『ハットフル・オブ・ホロウ』（1984年）を含めると、通算3作目のアルバムにあたります。

背景

このアルバムは、ザ・スミスの作品として初めてスティーヴン・ストリートがレコーディング・エンジニアを担当しました。ストリートは、1987年のアルバム『ストレンジウェイズ、ヒア・ウイ・カム』ではプロデューサーに昇格し、モリッシーのソロ活動でも共同作業を行っています。

「ザ・ヘッドマスター・リチュアル」は、教師による理不尽な暴力を批判した楽曲で、モリッシー自身の学生時代の経験に基づいています。「バーバリズム・ビギンズ・アット・ホーム」は、ジョニー・マーとアンディ・ルークがザ・スミス結成前に作った曲が原型となっており、ルークは当時、ファンクベーシストたちに影響を受けていました。アルバムのタイトル曲「ミート・イズ・マーダー」は、菜食主義者であるモリッシーが動物の権利について歌ったもので、ジョニー・マーは、この曲をきっかけに多くの人々が菜食主義になったと語っています。

リリース

アルバムのジャケット写真は、1968年の反戦映画『In the Year of the Pig』からの引用で、オリジナルの写真ではヘルメットに「MAKE WAR NOT LOVE」と書かれていましたが、アルバムでは「MEAT IS MURDER」に変更されました。イギリス盤LPは9曲入りでしたが、アメリカ盤LPには「ハウ・スーン・イズ・ナウ？」が追加され、再発CDも10曲入りとなっています。日本盤LPの帯には「肉喰うな！」と書かれており、再発された紙ジャケットCDでも同様の表記がされています。

ツアー

アルバムリリース後、バンドはイギリスツアーを開始し、ロイヤル・アルバート・ホール公演では、ピート・バーンズがゲスト参加し、モリッシーと「バーバリズム・ビギンズ・アット・ホーム」をデュエットしました。ヨーロッパツアーでは、機材トラブルでサン・セバスティアン公演がキャンセルになり、観客が暴動を起こすという出来事もありました。その後、北米ツアー中にジョニー・マーは結婚しています。

反響

全英アルバムチャートでは初の1位を獲得し、13週間トップ100入りしました。しかし、シングルカットされた「ザット・ジョーク・イズント・ファニー・エニモア」は、全英シングルチャートで最高49位と、セールス面では大きな成功を収めることはできませんでした。
ニュージーランドのアルバムチャートでは最高13位を記録し、アメリカのBillboard 200では最高110位でした。

評価・影響

オールミュージックのレビューでは、このアルバムを「ザ・スミスの音楽性を洗練させつつ、多様化への岐路を記録した作品」と評価しています。『ローリング・ストーン』誌の「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では296位、『NME』誌の同リストでは254位にランクインしました。また、PETAが制作したゲーム「This Beautiful Creature Must Die」には、アルバムのタイトル曲のチップチューンバージョンが使用されています。

収録曲

1. ザ・ヘッドマスター・リチュアル
2. ラショーム・ラフィアンズ
3. アイ・ウォント・ザ・ワン・キャント・ハヴ
4. ホワット・シー・セッド
5. ザット・ジョーク・イズント・ファニー・エニモア
6. ハウ・スーン・イズ・ナウ?
7. ノーホエア・ファースト
8. ウェル・アイ・ワンダー
9. バーバリズム・ビギンズ・アット・ホーム
10. ミート・イズ・マーダー

参加ミュージシャン

モリッシー - ボーカル
ジョニー・マー - ギター、ピアノ
アンディ・ルーク - ベース
マイク・ジョイス - ドラムス

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