ザ・クイーン・イズ・デッド

ザ・スミス『ザ・クイーン・イズ・デッド』

ザ・スミスの3枚目のアルバム『ザ・クイーン・イズ・デッド』は、1986年6月16日にイギリスでラフ・トレードから、6月23日にアメリカでサイアー・レコードから発売されました。このアルバムは、イギリスのチャートで2位、アメリカのBillboard 200で70位に達し、1990年代後半にはRIAAからゴールド認定を受けました。

アルバム制作の背景

ギタリストのジョニー・マーは、1985年前半のライブツアー中に、後にアルバムに収録される楽曲のアイデアを練り始めました。サウンドチェック中に、ベーシストのアンディ・ルークとドラマーのマイク・ジョイスと共にアレンジを決定していきました。先行シングル「心に茨を持つ少年」をリリース後、バンドは3枚目のアルバム制作に取り掛かりました。マーは、ボーカルのモリッシーとともにアルバムをプロデュースし、エンジニアのスティーヴン・ストリートが前作に続き制作に携わりました。ストリートは、スタジオの雰囲気は非常に良好だったと回想しています。

アルバムのレコーディングは、ロンドン北東部のRAKスタジオで「ビッグマウス・ストライクス・アゲイン」と「サム・ガールズ」を録音した後、サリー州ファーナムにあるJacobsスタジオで1985年から1986年にかけて行われました。

リリースと評価

アルバムは1986年6月にリリースされ、先行シングルとして「ビッグマウス・ストライクス・アゲイン」が5月に発売されました。バンドは「ゼア・イズ・ア・ライト」のシングルカットも検討しましたが、マーはバンドの再始動を強く印象付けるために、ローリング・ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」のようなパワフルなシングルを求めていました。しかし、「ビッグマウス・ストライクス・アゲイン」はイギリスのチャートで26位にとどまりました。

『ザ・クイーン・イズ・デッド』は、批評家から非常に高い評価を受けました。ローリング・ストーン誌は5つ星を与え、モリッシーのユーモアと「セメタリー・ゲイツ」での歌唱を高く評価しました。ピッチフォーク・メディアは、1980年代のベストアルバムの6位に選出し、モジョは「ゼア・イズ・ア・ライト」をオールタイム・ベストソングの25位にランク付けしました。また、VH2のトップ500インディーチャートで1位を獲得し、ニュー・ミュージカル・エクスプレス誌は、このアルバムをイギリスの重要なアルバムの2位に挙げました。Q誌は「80年代のベストアルバム40」で3位にランクインし、ローリングストーン誌のオールタイム・グレイテスト・アルバム500では113位に、ニュー・ミュージカル・エクスプレスのオールタイム・グレイテスト・アルバム500では1位に輝きました。

音楽性と歌詞

「ゼア・イズ・ア・ライト」はシングル候補でしたが、「ビッグマウス・ストライクス・アゲイン」が支持を得ました（1986年後半にフランスのみで7インチシングルとしてリリース、1992年にリイシュー）。

「セメタリー・ゲイツ」は、モリッシーが敬愛する作家シェラ・デラニーやエリザベス・スマートの文章を引用したことに対する批判への応答であり、歌詞中ではオスカー・ワイルドを「守護聖人」と表現しています。アルバムの最初のシングル「ビッグマウス・ストライクス・アゲイン」のレコード外周には、ワイルドの「才能は借りる、天才は盗む」という言葉が刻まれています。

アルバムの冒頭を飾る「ザ・クイーン・イズ・デッド」は、1962年の映画『The L-Shaped Room』からのサウンドバイトで始まり、モリッシーの60年代イギリス映画への愛着が表れています。モリッシーは、自身の声にエフェクトをかけることを好み、バッキングボーカルとしてハーモナイザーを使用しました。バッキングボーカルは、「アン・コーツ」というクレジットで記載されています（これはマンチェスターの地区名です）。

アートワーク

アルバムカバーはモリッシーがデザインし、1964年の映画『L'Insoumis』からアラン・ドロンの写真が使用されています。

収録曲

1. ザ・クイーン・イズ・デッド - "The Queen Is Dead"
2. フランクリー、ミスター・シャンクリー - "Frankly, Mr. Shankly"
3. アイ・ノウ・イッツ・オーヴァー - "I Know It's Over"
4. ネヴァー・ハッド・ノー・ワン・エヴァー - "Never Had No One Ever"
5. セメタリー・ゲイツ - "Cemetry Gates"
6. ビッグマウス・ストライクス・アゲイン - "Bigmouth Strikes Again"
7. 心に茨を持つ少年 - "The Boy with the Thorn in His Side"
8. ヴィカー・イン・ア・テュテュ - "Vicar in a Tutu"
9. ゼア・イズ・ア・ライト - "There Is a Light That Never Goes Out"
10. サム・ガールズ - "Some Girls Are Bigger Than Others"

参加メンバー

モリッシー - ボーカル、バッキング・ボーカル、共同プロデューサー
ジョニー・マー - ギター、ハーモニウム、シンセサイザー、共同プロデューサー
アンディ・ルーク - ベースギター
マイク・ジョイス - ドラムス
スティーヴン・ストリート - エンジニア（「フランクリー、ミスター・シャンクリー」を除く）
ジョン・ポーター - エンジニア（「フランクリー、ミスター・シャンクリー」）

参考資料

Weisbard, Eric; Craig Marks (1995). Spin Alternative Record Guide. Vintage Books. ISBN 0679755748
花の絵 名盤再考 ザ・スミス『ザ・クイーン・イズ・デッド』
* The Queen is Dead - Discogs

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