ザ・ブッシュワッカーズ

ザ・ブッシュワッカーズ：狂乱のヒールからコミカルなベビーフェイスへ

ザ・ブッシュワッカーズは、プロレス史に名を刻むニュージーランド出身の伝説的タッグチームです。ブッチ・ミラーとルーク・ウィリアムス、二人のレスラーによって構成されたこのチームは、1966年の結成以来、世界中のプロレス団体を舞台に、数々のドラマを繰り広げました。

NWA時代：ザ・キウィズからシープハーダーズへ

二人の出会いはNWAニュージーランド時代（後のオールスター・プロレスリング）にさかのぼります。当初はそれぞれ異なるリングネームで活動していましたが、1973年にはカナダのカルガリーへ進出し、「ザ・キウィズ」を名乗り、タッグチームとして本格的に活動をスタートさせます。その後、オーストラリア、東南アジア、そして日本にも遠征。国際プロレスでは、スーパースター・ビリー・グラハムやラッシャー木村らと対戦し、着実に実力をつけました。

1970年代後半にニュージーランドに一時帰国した後、1979年に全日本プロレスへ参戦。その後、チーム名を「ザ・シープハーダーズ」に変更し、北米のパシフィック・ノースウエスト・レスリング（PNW）などで活躍。NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座を3回獲得するなど、ヒールとして圧倒的な存在感を示しました。

その後のキャリアにおいて、彼らはNWAミッドアトランティック・タッグ王座、UWF世界タッグ王座、そしてNWA USタッグ王座など、数々のタイトルを獲得。さらに、新日本プロレスにも参戦し、IWGPタッグ王座決定リーグ戦にも出場するなど、世界を股にかけた活躍を展開します。1980年代半ばには、迷彩ズボンにタンクトップ、ボロボロのアーミーキャップという、独特の入場コスチュームを確立。このコスチュームも、彼らのトレードマークとなりました。

WWF時代：コミカルなベビーフェイスとして

1988年末、彼らはWWF（後のWWE）へと参戦。チーム名を「ザ・ブッシュワッカーズ」へと改め、従兄弟という設定で新たなキャリアをスタートさせます。シープハーダーズ時代とは一転、コミカルなベビーフェイスとして大活躍。目を剥き、口を歪ませたユーモラスな表情と、腕を高く上げてリングへ入場する姿は、子供たちを中心に絶大な人気を博しました。

WWFでの彼らは、タイトル戦線に絡むことは少なかったものの、ファビュラス・ルージョー・ブラザーズ、リズム&ブルース、オリエント・エクスプレスなど、ミッドカード戦線を盛り上げました。レッスルマニアなどのビッグイベントでは、オープニング・アクトとして会場を盛り上げる役割を担い、ハクソー・ジム・ドゥガンとのトリオも人気を呼びました。1996年までWWFに在籍し、その後もインディー団体で活躍を続けました。

解散後とWWE殿堂入り

チーム解散後、ミラーはニュージーランドでプロレス団体関係の活動に従事し、ウィリアムスはプエルトリコの団体でブッカーを務めるなど、それぞれがプロレス界に貢献を続けました。2015年、ザ・ブッシュワッカーズはWWE殿堂入りを果たし、その功績を称えられました。2023年4月3日、ミラーの死去が報じられ、多くのファンを悲しませました。

獲得タイトルと合体技

ザ・ブッシュワッカーズは、長年に渡るキャリアの中で、NWAインターナショナル・タッグ王座、NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座、WWC北米タッグ王座など数々のタイトルを獲得しました。彼らが得意とした合体技には、「ダブル・ガットバスター」や「バトリング・ラム」などがあります。

ザ・ブッシュワッカーズは、ヒールとしての実力とベビーフェイスとしての抜群の人気を兼ね備えた、まさに伝説的なタッグチームでした。彼らの活躍は、多くのプロレスファンの記憶に深く刻み込まれているでしょう。

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