スーパースター・ビリー・グラハム

スーパースター・ビリー・グラハム：レスリング界の伝説

1943年生まれのアメリカ人プロレスラー、スーパースター・ビリー・グラハム（本名：Eldridge Wayne Coleman）。その名のとおり、70年代を代表するスーパースターとして、数々の伝説を刻みました。本記事では、彼の波乱に満ちた人生と、プロレス界への多大な影響を紐解きます。

華麗なるキャリアの始まり

若きグラハムはアメリカンフットボールや陸上競技で才能を輝かせ、ボディビルディングでも優勝経験を持つアスリートでした。プロスポーツへの挑戦も経験しますが、プロレスラーへの転身を決意。1970年、CFLの先輩であるスチュ・ハートの指導の下、プロレスラーとしてのキャリアをスタートさせます。

NWAロサンゼルス地区でドクター・ジェリー・グラハムと出会い、「スーパースター・ビリー・グラハム」というリングネームを与えられます。このリングネームは、当時大ヒットしたミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』と、有名なキリスト教伝道師ビリー・グラハムからインスピレーションを得たものと言われています。

怪力とカリスマ性：ヒールとしての成功

グラハムは、卓越したマイクパフォーマンスと観客との交流で知られていました。テクニックに劣る部分もありましたが、怪力と反則技を駆使したスタイルと、圧倒的なカリスマ性で観客を魅了。ヒール（悪役）でありながら、驚くほどの高い人気を獲得しました。ハルク・ホーガンやジェシー・ベンチュラといった後進のレスラーたちも、彼の熱狂的なファンだったと言われています。 饒舌なリック・フレアーも、グラハムの話術を自身のスタイルに取り入れたと語っています。

サイケデリックなコスチュームや、晩年のスキンヘッド＆口ひげといった独特のスタイルも後のレスラーたちに大きな影響を与えました。しかし、日本のプロレス界ではプロモーションの習慣の違いから評価が低く、「木偶の坊」「期待外れ」などと呼ばれた時期もありました。

世界を舞台に活躍

AWA、WWWF（後のWWE）、NWAなど、数々の団体を渡り歩き、世界中で活躍しました。1974年には国際プロレスに初来日し、アニマル浜口との抗争で大きな話題を呼びました。ベンチプレス対決では浜口を圧倒し、「日本で俺に勝てる奴なんていない」と豪語するなど、その強さを印象付けました。

1977年には、WWWFヘビー級王座を獲得。悪役王者として10ヶ月間、王座を守り続けました。この長期政権は、WWWFの歴史においても異例のことでした。マディソン・スクエア・ガーデンでの定期戦は毎回満員となるなど、その人気は絶大でした。新日本プロレスにも複数回参戦し、アントニオ猪木や坂口征二らと対戦しています。

逆境と復活

ステロイド剤の副作用による健康問題や、癌の噂など、幾多の困難を経験します。一時的にレスラーとしての活動を休止しますが、マーシャルアーツスタイルを取り入れた新たな姿でWWFにカムバック。しかし、全盛期の輝きは失われていました。

その後もAWAやNWAなどで活躍を続け、NWAフロリダ・ヘビー級王座を再び獲得するなど、現役生活の晩年まで、プロレス界に貢献しました。しかし、腰痛などの深刻な怪我に悩まされ、1987年に現役を引退します。

レガシー

引退後も、WWFとの確執や薬物問題への発言など、波乱の余生を送りましたが、2004年にはWWE殿堂入りを果たします。ステロイドの危険性を訴える活動や、WWEへの特別出演など、プロレス界への貢献は晩年も続きました。2023年5月、79歳でこの世を去りました。

彼の生き様は、プロレスラーとしての成功のみならず、数々の困難を乗り越え、自身の信念を貫き通す強さを示すものとなりました。スーパースター・ビリー・グラハムは、プロレス界の伝説として、これからも語り継がれていくでしょう。

獲得タイトル

WWWFヘビー級王座
WWE殿堂
NWA世界タッグ王座（サンフランシスコ版）
NWAハワイ・ヘビー級王座
NWAテキサス・ブラスナックル王座
NWAフロリダ・ヘビー級王座
NWAフロリダ・タッグ王座
IWA世界ヘビー級王座
* CWA世界ヘビー級王座

そしてその他多くのタイトルを獲得しています。

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