ブッチ・ミラー

ブッチ・ミラー：ニュージーランドが生んだプロレスのレジェンド

1944年10月21日、ニュージーランドのウェリントンに生まれたロバート・ミラーは、後にプロレス界でブッチ・ミラーとして知られる存在となる。彼のキャリアは1964年、NWAニュージーランド（後のオールスター・プロレスリング）でのデビューから始まる。当初は本名で活動していたが、その後、様々なリングネームを使い分け、キャリアを重ねていく。

1973年、ブッチ・ミラーは「オーストラリア・マットに突如出現した謎の覆面レスラー」として、ザ・タイガーのリングネームで新日本プロレスに初来日。アントニオ猪木と対戦するなど、早くから国際的な活躍を見せていた。その後、ニック・カーターのリングネームで北米に進出し、カナダのスタンピード・レスリングではルーク・ウィリアムスとタッグチーム『ザ・キウィズ』を結成。国際プロレスにも参戦し、ラッシャー木村&グレート草津組と激しい戦いを繰り広げる。

1979年、ブッチ・ミラーはルーク・ウィリアムスと共に全日本プロレスに参戦。チーム名を『ザ・シープハーダーズ』に変更し、ヒールとして活躍。プエルトリコのWWCではアブドーラ・ザ・ブッチャーと共闘するなど、世界中で活躍の場を広げていった。1981年には一時的にコンビを解消しニュージーランドに帰国するも、1983年には再びルーク・ウィリアムスとタッグを組み、各テリトリーでタッグ王座を次々と獲得。日本では「タッグ泥棒」の異名で知られるようになる。1987年には新日本プロレスのIWGPタッグ王座決定リーグ戦にも出場した。

1988年末、ブッチ・ミラーとルーク・ウィリアムスはチーム名を『ザ・ブッシュワッカーズ』に変更し、従兄弟という設定でWWFに登場。コミカルなキャラクターで人気を集め、ベビーフェイスとして子供たちを中心に熱狂的なファンを獲得した。WWFには1996年まで在籍し、その後もインディー団体で活躍を続けた。

2001年、レッスルマニアX-Sevenのギミック・バトルロイヤルに出場した後、ブッチ・ミラーは引退。故郷ニュージーランドに戻り、キーウィ・プロ・レスリングのコミッショナーやレスリング・ウェブサイトのコラムニストとして活動した。2008年にはWWEのイベントに登場し、往年のパフォーマンスで観客を沸かせた。

2015年にはルーク・ウィリアムスと共にWWE殿堂入りを果たす。杖をつきながらも、変わらぬパフォーマンスで会場を盛り上げた。2023年4月3日、78歳で死去。その死は、相棒であるルーク・ウィリアムスの家族からのSNS投稿によって伝えられた。

ブッチ・ミラーは、数々のタッグチーム名義で世界中のプロレス団体で活躍した。獲得したタイトルは枚挙に暇がない。

主な獲得タイトル

スタンピード・レスリング: NWAインターナショナル・タッグ王座
パシフィック・ノースウエスト・レスリング: NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座
NWAオールスター・レスリング: NWAカナディアン・タッグ王座
ミッドアトランティック・チャンピオンシップ・レスリング: NWAミッドアトランティック・タッグ王座
ワールド・レスリング・カウンシル: WWC北米タッグ王座、WWC世界タッグ王座
ユニバーサル・レスリング・フェデレーション: UWF世界タッグ王座
チャンピオンシップ・レスリング・フロム・フロリダ: NWA USタッグ王座（フロリダ版）、NWAフロリダ・タッグ王座
コンチネンタル・レスリング・アソシエーション: CWAインターナショナル・タッグ王座
サウスウエスト・チャンピオンシップ・レスリング: SCW世界タッグ王座
ワールド・レスリング・エンターテインメント: WWE殿堂

ブッチ・ミラーの残した功績は、プロレス史に永遠に刻まれるだろう。彼のコミカルなキャラクターと卓越したタッグチームとしての技量は、多くのファンに忘れられることはない。彼の死はプロレス界に大きな損失をもたらしたが、彼のレガシーはこれからも語り継がれていくことだろう。

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