シェイクスピア級駆逐艦

シェイクスピア級嚮導駆逐艦：大口径砲を搭載した革新的駆逐艦

シェイクスピア級嚮導駆逐艦は、イギリス海軍が第一次世界大戦中に建造した嚮導駆逐艦の艦級です。ソーニクロフト型とも呼ばれ、その特徴的な外観と強力な武装で知られています。この艦級は、当時の駆逐艦を指揮する嚮導艦として、水雷戦隊の重要な役割を担いました。

開発の背景

イギリス海軍は、1913年度から駆逐艦を大型化した嚮導駆逐艦を建造し、水雷戦隊の指揮艦として運用してきました。初期の嚮導駆逐艦は、同世代の駆逐艦と同じ40口径10.2cm砲を搭載し、駆逐艦よりも1門多い4門を搭載することで火力の強化を図っていました。しかし、1916年4月、ドイツ帝国海軍が12.7cm砲を搭載した新しい大型水雷艇を開発しているという情報がもたらされました。実際には45口径15cm砲を搭載していたのですが、この情報に対抗するため、イギリス海軍はV/W級駆逐艦|V_W級駆逐艦を指揮する1916年度の嚮導駆逐艦において、砲熕火力の強化を決定しました。この決定に基づいて建造されたのが、シェイクスピア級です。

設計の特徴

シェイクスピア級の船体の基本的な寸法は、マークスマン級やアンザック級と同様ですが、太さと高さが等しい扁平な2本煙突が特徴的です。この独特な煙突と重武装が相まって、非常に印象的な艦容となりました。また、大型の船体でありながら36ノットの高速力を実現するために、機関部の容積が増大しています。従来の嚮導駆逐艦が3軸推進であったのに対し、本級では駆逐艦と同様の2軸推進となりました。ボイラーにはヤーロウ式重油専焼水管ボイラー、主機にはブラウン・カーチス式オール・ギヤード・タービンが採用されています。

大口径砲の搭載

シェイクスピア級の最大の特徴は、その強力な砲熕火力です。イギリス海軍は、まずスウィフトおよびF級ヴァイキングで45口径15.2cm砲の搭載を試みましたが、これは不調に終わりました。そこで、本級では野砲を転用した45口径12cm砲が採用されました。この12cm砲は、船首楼甲板と艦尾甲板にそれぞれ背負式に単装砲架を2基ずつ、そして煙突間のプラットフォームに3番砲が設置されています。また、1・4番砲の砲員を2・3番砲の爆風から守るため、2・3番砲を架しているプラットフォームにはブラストスクリーンが設置されています。さらに、基線長2.7mの測距儀を設置することで、射撃指揮の効率化が図られました。

対空兵装と水雷兵装

対空兵装としては、従来の艦と同様の40mm高角機銃に加え、7.6cm高角砲も搭載されました。水雷兵装も強化されており、従来の駆逐艦・嚮導駆逐艦の53.3cm連装魚雷発射管に代わり、本級では指揮下に入る予定のV/W級と同じ3連装発射管が搭載されました。

同型艦

シェイクスピア級は以下の5隻が建造されました。

シェークスピア（HMS Shakespeare）
スペンサー（HMS Spenser）
ウォーリス（HMS Wallace）
ケッペル（HMS Keppel）
* ブローク（HMS Broke）

シェイクスピア級嚮導駆逐艦は、第一次世界大戦中にその強力な火力と高速力で活躍し、イギリス海軍の駆逐艦戦力の中核を担いました。この艦級は、その後の駆逐艦設計に大きな影響を与え、現代の駆逐艦の発展に繋がる重要な一歩となりました。

もう一度検索