シェルボーン・ホテル

シェルボーン・ホテル：ダブリンの歴史と格式が息づく場所

シェルボーン・ホテルは、アイルランドの首都ダブリン、セント・スティーブンス・グリーンの北側に位置する、格式高い高級ホテルです。現在はマリオット・インターナショナルによって運営されており、「ザ・シェルボーン・ダブリン・ア・ルネッサンス・ホテル」という名称でも知られています。

1824年にマーティン・バークによって開業されたこのホテルは、開業当初、セント・スティーブンス・グリーンを見下ろす3棟のタウンハウスを統合したものでした。バークは、このホテルを第2代シェルバーン伯爵ウィリアム・ペティにちなんで「ザ・シェルボーン」と名付けました。

ホテルの設計はジョン・マカーディが担当し、建物を飾る4体の銅像は、パリの工房で鋳造されました。これらの像は、ヌビアの王女と足枷をされた女奴隷を描いており、その芸術性もまた、ホテルを特徴づける要素の一つとなっています。

歴史の証人

シェルボーン・ホテルは、その長い歴史の中で、数々の重要な出来事の舞台となってきました。

20世紀初頭には、アドルフ・ヒトラーの異母兄であるアロイス・ヒトラー・ジュニアが、ダブリン滞在中にこのホテルで働いていたという記録が残っています。
1916年のイースター蜂起では、イギリス軍がホテルを占拠し、アイルランド市民軍と義勇軍と対峙しました。この際、ホテルからセント・スティーブンス・グリーンに向けて一斉射撃が行われ、多くの死傷者が出ました。
1922年には、アイルランド憲法が112号室で起草され、この部屋は「ザ・コンスティテューション・ルーム（憲法の部屋）」として知られるようになりました。この部屋は、アイルランドの独立の歴史を語る上で、非常に重要な場所となっています。
近年では、2018年に欧州サッカー連盟（UEFA）が、各種トーナメントの組み合わせ抽選会をこのホテルで開催しました。

文学との関わり

シェルボーン・ホテルは、文学作品にも登場しています。ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』には、このホテルに関する記述が見られます。

ホテルに関する書籍

このホテルの歴史をまとめた書籍も出版されています。

エリザベス・ボウエンによる1951年の『The Shelbourne Hotel』
マイケル・オサリヴァンとバーナーディン・オニールによる1999年の『The Shelbourne and its people』

これらの書籍は、ホテルの豊かな歴史と、そこで働く人々について詳しく記述しています。

2007年には、18か月におよぶ改修工事を経て営業を再開し、現在は265室の規模で営業しています。長きにわたり、ダブリンの歴史と文化を象徴する存在として、世界中の人々を魅了し続けています。

公式サイト: https://www.marriott.com/ja/hotels/dubbr-the-shelbourne-dublin-a-renaissance-hotel/overview/

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