シェンコック

シェンコック：メコン川沿いの国境の村

シェンコックは、ラオスのルアンナムター県に位置する、メコン川を挟んでミャンマーと国境を接する静かな村です。この地域は、メコン川が物流の大動脈となっており、中国からの貨物船が頻繁に行き交います。村には小売店が数軒ある程度で、人通りも少なく、素朴な雰囲気が漂っています。簡素なレストランや店舗が点在し、少数民族の衣装をまとった人々が見られます。約300人の村民が暮らしており、そのうち約60人が中国人と言われています。中国人は、より良い生活を求めて移住してきたものの、期待したほどの収入が得られず、帰国する人も少なくないようです。

宿泊施設は、メコン川沿いの高台にコテージ風の安宿があり、そこからは常にミャンマーの景色を眺めることができます。メコン川は、この地域における物流と交通の要となっており、日本製の中古車から取り外した250馬力ほどのエンジンを搭載したパワーボートが、激しい騒音を立てながらひっきりなしに往復しています。この光景は、シェンコックの活気を象徴するものです。

ラオス＝ミャンマー友好橋

2015年5月9日には、ラオスとミャンマーの国交樹立60周年を記念して、全長700メートルの「ラオス＝ミャンマー友好橋」が完成しました。この橋は、シェンコックとミャンマー北東部のシェンラップを結び、物流と貿易の活性化に大きく貢献しています。ただし、2015年6月現在、ラオス人とミャンマー人以外の通行は許可されていません。

アカ族の村：ブンサイマイ村

シェンコックの近くには、エンジンボートでのみアクセス可能なアカ族の村、ブンサイマイ村があります。この村には約24世帯、100人ほどのアカ族の人々が暮らしています。彼らの家は高床式で、農作物を動物から守るための囲いがところどころに見られます。家畜は放し飼いにされており、素朴な生活様式を垣間見ることができます。アカ族の村民の名前は、「アッコウ」や「アドゥ」など、すべて「ア」から始まるのが特徴的です。主食はタケノコで、アカ族はもともとチベットの高地に住んでいた民族が、次第にインドシナ半島を南下してきたと言われています。主な産業は農業と牧畜です。興味深い習慣として、女性は食事の後に粘土を固めて乾燥させた土を食べる習慣があります。また、既婚女性は胸をはだけて過ごすという習慣も残っています。アカ族の人々は、もともとはさらに山奥に住んでいましたが、政府の指導によってこの地に移住しました。

シェンコックへのアクセス

シェンコックへは、ムアンシンからムアンローン行きのバスに乗り、ムアンローンでシェンコック行きのバスに乗り換えることでアクセスできます。ムアンシンからムアンローンまでの所要時間は約2時間（30,000kip）、ムアンローンからシェンコックまでは約1時間（20,000kip）です。全行程で約3時間かかります。

その他

作家の椎名誠氏の著書『メコン・黄金水道をゆく』には、シェンコックの様子が詳しく紹介されています（P31-）。この本を読むことで、シェンコックの魅力や雰囲気をより深く理解することができるでしょう。

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