シエンクワーン王国

シエンクワーン王国の歴史

シエンクワーン王国は、現在のラオス・シエンクワーン県とベトナム・ゲアン省にまたがる地域に位置した、半独立の王国でした。その歴史は、ラーンサーン王朝の支配から始まり、ベトナムの西山朝、シャム、そしてフランスへと、その支配者が目まぐるしく変わる、複雑な変遷を辿ります。

ラーンサーン王朝からの独立

シエンクワーンは、長年にわたりラーンサーン王朝の支配下にありました。しかし、18世紀後半、ベトナムに西山朝が成立すると、その勢力はラオス方面にも拡大し始めます。1787年、西山朝の太祖・阮文恵は、ゲアンにいたカイサーンに兵を率いさせ、シエンクワーンへ侵攻させました。阮文恵は、シエンクワーンの領主に西山朝への入貢を要求しましたが、ラーンサーン王朝の末裔であるヴィエンチャン王国国王ナンタセーン・ポンマラオは、直ちに軍を派遣してカイサーンの軍勢を撃退しました。

しかし、翌1788年、カイサーンは3000の兵を率いて再び侵攻しました。この侵攻に対し、ナンタセーン・ポンマラオはシエンクワーンの領主に西山朝への入貢を認めざるを得なくなりました。これにより、シエンクワーンはヴィエンチャン王国の領土でありながら、ベトナム王朝（西山朝、及び阮朝）の勢力下という、非常に不安定な状態に置かれることとなります。

ヴィエンチャン王国滅亡後の変遷

その後、ヴィエンチャン王国が滅亡すると、シエンクワーンはシャム（チャクリー王朝）の支配下に入ります。19世紀末、フランスが旧ルアンパバーン王国の宗主権をシャムから獲得すると、1899年にシエンクワーンはトンキンとルアンパバーンに分割され、インドシナ連邦に組み込まれることとなりました。これにより、シエンクワーン王国は歴史の舞台から姿を消すことになります。

まとめ

シエンクワーン王国は、周辺の大国に翻弄されながらも、独自の歴史を刻んだ地域でした。ラーンサーン王朝から西山朝、シャム、フランスへと支配者が変わる中で、その半独立的な立場は常に不安定な状態であり続けました。その歴史は、この地域の複雑な政治的状況を反映しており、現在でもラオスとベトナムの国境地帯として、その歴史的な背景が深く影響しています。

関連項目

ラオスの歴史
ラーンサーン王朝
ヴィエンチャン王国
ルアンパバーン王国
* 西山（タイソン）朝

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