シカゴ (バンド)

シカゴ (Chicago)

シカゴは、アメリカにおいてブラス・ロックという独自のスタイルを確立した著名なロックバンドです。彼らは特にロック音楽に金管楽器セクションを取り入れた形式の演奏で知られており、往年のヒット曲には、「ぼくらに微笑を」や「ビギニングス」、「サタデイ・イン・ザ・パーク」、「君とふたりで」などがあります。バンドは1967年にシカゴで結成されましたが、プロの音楽キャリアをスタートさせると、主な活動拠点をロサンゼルスに移しました。

来歴

シカゴは1967年に、当初「ビッグ・シング」という名前で結成されました。メンバーはウォルター・パラゼイダー、ロバート・ラム、テリー・キャス、ジェイムズ・パンコウ、リー・ロックネイン、ダニー・セラフィンの6人です。同年後半にはピーター・セテラが加わり、バンドは本格的に活動を開始しました。1969年には「シカゴ・トランジット・オーソリティ」という名前でデビューし、アルバム「シカゴの軌跡」はBillboard 200で17位に達しました。

1970年にはシカゴ交通局から苦情が寄せられたことを受け、バンド名を「シカゴ」へと変更し、アルバム『シカゴと23の誓い』をリリースしました。この作品からは「長い夜」がヒットし、彼らの名を広めるきっかけとなりました。その後もシカゴは多くの成功を収めていき、1971年には『シカゴIII』を発表し全米2位を記録、1972年の『シカゴV』からは「サタデイ・イン・ザ・パーク」と「ダイアログ」が大ヒットしました。

1973年以降、シカゴはますます多様な音楽スタイルを取り入れていきます。1974年にはジャズやラテン音楽の要素を取り入れた『シカゴVII』を、翌年には『シカゴVIII』をリリースし、これでもなお彼らの音楽の幅は広がりました。しかし、1976年にリリースされた『シカゴX』のラブ・バラード「愛ある別れ」は全米ナンバーワンを記録し、バンドの音楽スタイルがポップスへと移行しつつあったことを示しています。

一方、1978年のテリー・キャスの不幸な死やバンド内部での金銭的な問題など、厳しい時期も迎えます。それでも、シカゴは音楽活動を続け、新たなメンバーを迎え入れながら94年近くの長いキャリアを築き上げていきました。1980年代にはデイヴィッド・フォスターをプロデューサーに迎え、フォスターの手掛けるヒット曲が続出。1982年の「素直になれなくて」や1984年の「君こそすべて」がメガヒットしました。

1990年代に入ると、シカゴはメンバーの交代が続き、音楽スタイルも新たな方向性を模索します。1995年にはビッグバンド・ジャズのカバー集を発表し、1998年には初のホリデイ・アルバムをリリースしました。2000年代には精力的な活動を継続し、コンサートや新しいアルバムをリリースしてきました。

2014年には8年ぶりのオリジナル・アルバム『シカゴ36 'NOW'』を発表し、2016年4月にはロックの殿堂入りを果たします。この受賞時には、彼らの代表曲が披露され、元メンバーも共演しました。さらには、2017年にはドキュメンタリー映画『ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ』が公開され、彼らの歴史を振り返る良い機会となりました。

最近のシカゴは、コロナウイルスの影響にも関わらずライブ活動を再開し、2022年には新しいアルバムの発表が予告されています。シカゴはこれまでの音楽的な成功だけでなく、メンバーの変遷やさまざまな困難を乗り越えながら、長年にわたって多くのファンを魅了し続けています。

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