シカゴ科学産業博物館

シカゴ科学産業博物館は、イリノイ州シカゴのミシガン湖畔、ハイド・パーク地区に位置する博物館です。その建物は、1893年のシカゴ万国博覧会で「パレス・オブ・ファイン・アーツ」として使用されたもので、博覧会後には「コロンブス博物館」として利用されましたが、その後、科学博物館としての役割を担うことになりました。

歴史

1920年にフィールド自然史博物館がダウンタウンに移転した後、この建物は一時空き家となりました。その後、シカゴ美術館の教授ロレイド・タフトを中心に彫像美術館とする計画もありましたが、最終的には科学博物館として活用されることになります。シアーズ・ローバック社社長であり篤志家のジュリアス・ローゼンウォルドが改装費を寄付し、1933年のシカゴ万国博覧会開催中に開館しました。ローゼンウォルドはドイツ博物館のようなインタラクティブな博物館を理想としており、その理念が現在の博物館にも受け継がれています。

改装工事では、外観は古典様式を保ちつつ石灰岩で仕上げられ、内装はストリームライン・モダン様式に模様替えされました。初代館長にはニューヨーク・タイムズの科学部門編集長であったウォルデマー・カエンプフェルトが就任し、展示物の編成を行いましたが、博物館の方向性を巡り、後に辞任しました。

博物館は、1933年から1940年にかけて段階的に公開され、現在では、多様な展示物とインタラクティブな体験を通して、科学の魅力を伝える場となっています。

主な展示

博物館には、以下のような多彩な展示があります。

炭鉱 (Coal Mine): 地下にある炭鉱を再現し、当時の採掘の様子を体験できます。
潜水艦U-505 (U-505 Submarine): 第二次世界大戦中に鹵獲されたドイツの潜水艦「Uボート」を展示。内部を見学できるツアーもあります。
交通ギャラリー (Transportation Gallery): ボーイング727の実機、蒸気機関車、戦闘機などを展示し、交通の歴史を学べます。
グレート・トレイン・ストーリー (The Great Train Story): 巨大な鉄道模型ジオラマで、シアトルからシカゴまでの鉄道輸送を解説しています。
おとぎの城 (Colleen Moore's Fairy Castle): サイレント映画女優のコリーン・ムーアが寄贈した、精巧なドールハウスです。
銀色の稲妻パイオニア・ゼファー号 (All Aboard the Silver Streak: Pioneer Zephyr): 世界初のステンレス製流線型ディーゼル式旅客列車を展示。車内を見学できます。
ネイビー:海でのテクノロジー (Navy: Technology at Sea): アメリカ海軍の軍艦を展示。F-35C戦闘機のフライトシミュレーターもあります。
遺伝学とひよこハッチェリー (Genetics and the Baby Chick Hatchery): 遺伝学の基礎を学び、ひよこの孵化を観察できる展示です。
トイメーカー3000 (ToyMaker 3000: An Adventure in Automation): おもちゃ工場で、製品の製造工程を見学できます。
ヘンリー・クラウン・スペース・センター (Henry Crown Space Center): 初めて月を周回したアポロ8号の宇宙船を展示。その他、様々な宇宙関連の展示があります。
* 昨日のメイン・ストリート (Yesterday's main Street): 1910年当時のシカゴの街並みを実物大で再現しています。


これらの常設展示に加え、様々な特別展示も開催されています。

その他

博物館は映画のロケ地としても使用されており、「オーメン2/ダミアン」、「フラットライナーズ」、「チェーン・リアクション」などが撮影されました。

博物館の向かい側にある中州には、1893年の万博の際に日本館があった場所があり、現在は日本庭園「鳳凰庭園」として整備されています。

シカゴ科学産業博物館は、科学技術の進歩を体感できるだけでなく、その歴史的な背景や芸術的な側面も楽しめる、魅力的な博物館です。インタラクティブな展示も多く、子供から大人まで幅広い層が楽しめるでしょう。

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