シシトウガラシ

シシトウガラシ（獅子唐辛子）

シシトウガラシは、ナス科トウガラシ属に分類されるトウガラシの一種で、甘味種に属します。一般的には「シシトウ」や「甘とう」という名前で親しまれています。植物学的にはピーマン（学名: Capsicum annuum L. Grossum group）と同種であり、その起源は中南米にあります。大航海時代以降、ヨーロッパを経て世界中に広まりました。

特徴

シシトウガラシは、ピーマンやパプリカと同じトウガラシの仲間であり、辛味がほとんどない甘味種です。名前の由来は、果実の先端部分が獅子の頭に似ていることに由来します。

通常、食用とされるのは緑色の未熟果ですが、完熟すると実は赤色になり、大きくなります。完熟した赤い実は、品種改良のための種子採取に利用され、1つの果実から150〜200粒もの種子が得られます。シシトウガラシは高温に強く、夏野菜として栽培・出荷されますが、寒さには弱いため、日本では冬季の栽培は温暖な地域でのハウス栽培などに限られます。

品種

様々な品種が存在し、それぞれに特徴があります。

葵ししとう: ナント種苗が育成した品種で、生育が旺盛で着果が良いのが特徴です。
ししとう: タキイ種苗が育成した品種で、鮮やかな緑色でつやがあり、柔らかい食感が特徴です。焼き物や天ぷらにすると香りが引き立ちます。
ししピー（ししとうピーマン）: サカタのタネが育成した、シシトウガラシとピーマンの中間的な品種です。通常のシシトウガラシよりも実が大きく、種ごと食べられるミニピーマンとして人気があります。耐病性・耐暑性に優れ、たくさんの果実をつけます。
スーパーししとうジャンボ: 日本デルモンテアグリが育成した大型の品種で、果長が10cmほどにもなります。食べ応えがあり、食味も良好です。

栽培

シシトウガラシは、春に種をまき、苗を植え付けて、初夏から秋にかけて収穫できる野菜です。苗は市販もされています。露地栽培の場合、収穫時期は6月下旬から11月頃までです。栽培適温は日中20〜30℃、夜間15℃以上とされ、生育初期は低温に弱い性質があります。

苗作りは、育苗箱に種を筋蒔きし、発芽後に間引きを行います。本葉が2枚になったら育苗ポットに移植し、80〜90日かけて開花直前まで大きく育ててから畑に定植します。畑には堆肥などの元肥を施し、畝を作り、十分に灌水してマルチングをすることで地温を上げておきます。

シシトウガラシは風に弱く、枝が折れやすいため、支柱を立てて茎を誘引する必要があります。枝が混み合ってきたら剪定を行い、風通しと採光を良くすることが重要です。一番花が開花した頃に、下方の葉と脇芽を全て取り除き、主枝と側枝2本の3本仕立てにすると良いでしょう。肥料や灌水が不足すると辛味の強い果実ができることがあるため、梅雨明け後は畑が乾燥しすぎないように水やりを行ったり、約3週間ごとに追肥を欠かさず行うことが大切です。収穫は、果実の根元をハサミで切り取って行います。一度にたくさん収穫できる時期は、果実を上に引き上げるようにすると、離層から外れて早く収穫できます。通常は果長6〜7cmの頃に収穫しますが、樹勢が衰えている場合は若採りします。

料理

シシトウガラシは、焼く、煮る、揚げるなど、様々な調理法で楽しむことができます。ただし、そのまま加熱調理すると中の空気が膨張して破裂する恐れがあるため、小さな穴を数箇所開けたり、ヘタの部分を切ってから調理する必要があります。

辛味果について

シシトウガラシは通常、辛味のない甘味種ですが、まれにトウガラシのように辛い実（辛味果）が混ざることがあります。辛味果は、見た目では判別しにくいものの、比較的つやがなく、果形によじれがある、緑色が濃い、実が硬いなどの傾向があります。

辛味果の発生原因としては、栽培時の土壌の乾燥や高温・乾燥条件などが挙げられます。このような条件下では単為結果が発生しやすくなり、辛味が出やすくなります。また、28℃の恒温条件下で栽培された場合、辛味が強くなり、種子数が少なくなるという報告もあります。ただし、他のトウガラシ品種との交雑によって辛くなると言う説には裏付けがありません。

辛味果は、触って種の数を調べることで、ある程度判別できます。単為結果によって辛くなったものは、通常のものに比べて種の数が少ない傾向があります。

栄養価

シシトウガラシは、ビタミンC、カロテン、カリウムなどを豊富に含んでいます。また、エピネフリンの分泌を促進し、脂肪燃焼を高める効果も期待できます。

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