シナノケンシ

シナノケンシ株式会社

シナノケンシ株式会社は、長野県上田市に本社を構える企業です。その歴史は、1918年（大正7年）に信濃絹絲紡績株式会社として創業したことに始まります。創業者は金子行徳で、彼は長野県出身で、教員や通訳、海外特派員などを経験した後、製糸業に着手しました。

創業と初期の事業

創業当初、同社はくず繭やくず生糸を原料とする絹糸紡績業を営んでいました。大正時代には生糸価格の暴落がありましたが、同社は事前に高値で売り抜けることで損害を最小限に抑え、昭和初期の金融恐慌の際にも、銀行倒産前に預金を引き出すなど、危機を乗り越えてきました。第二次世界大戦中には軍需工場への転換を余儀なくされましたが、機械部品を丁寧に保管し、戦後には迅速に事業を再開することができました。

電子機器分野への進出

1962年（昭和37年）、産業構造の変化に対応するため、電子部（モータ部門）を設立し、オープンリール・テープレコーダ用ACモータの製造を開始しました。1965年（昭和40年）に金子行徳が死去すると、金子徳夫が代表取締役社長に就任し、創業者の遺志を継いで、図書館建設費の寄付を行うなど、地域貢献活動も行いました。1973年（昭和48年）には、社名を現在のシナノケンシ株式会社に変更しました。

事業の多角化とグローバル展開

1980年（昭和55年）には、繊維、精密電機、電子機器の3事業部制となり、事業の多角化を進めました。1986年（昭和61年）には、初の海外生産拠点として香港に信濃香港有限公司を設立し、グローバル展開を加速させました。1999年（平成11年）には金子元昭が代表取締役社長に就任し、2018年（平成30年）には創業100周年を迎えました。

現在の事業内容とブランド戦略

2019年6月には、新たなコーポレートブランド「ASPINA」を発表し、ブランド移行を行いました。1980年代には店舗用BGM再生装置で高いシェアを持っていましたが、現在では精密モータ・アクチュエータなどの電子機器・精密機器の製造を主要な事業としています。アメリカ、ヨーロッパ、中国、タイ、インド、メキシコに子会社を持ち、国際的な事業展開を行っています。

主な製品分野

精密モーター、アクチュエータ
産業システム機器（映像/ハイスピードカメラ・サーモグラフィー）
福祉・生活支援機器（録音図書機器、補聴器）

歴代社長

1918年-1965年: 金子行徳
1965年-1972年: 金子徳夫
1972年-1999年: 金子八郎
1999年-2024年: 金子元昭
2024年-現在: 金子行宏

関連情報

関連項目: 日本の企業一覧 (電気機器), プレクスター
外部リンク: 公式ウェブサイト
* 参考文献: 井原久光「ドメイン選択に関する経営戦略理論--シナノケンシのケース」『長野大学紀要』第25巻第2号、長野大学、2003年9月, 57 - 82頁

シナノケンシ株式会社は、創業から100年以上の歴史を持ち、時代の変化に対応しながら事業を拡大してきた企業です。その技術力とグローバルな展開は、今後も注目されるでしょう。

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