シボレー・カプリス

シボレー・カプリスの歴史

シボレー・カプリスは、アメリカの自動車メーカーであるゼネラルモーターズ（GM）のシボレー部門が製造したフルサイズセダンです。1965年から1996年まで北米を中心に販売され、その後も中東や北米で異なるモデルが展開されました。カプリスは、シボレーのフルサイズカーの中でも常に最上位に位置づけられ、豪華な内装と多様なエンジンオプションが特徴でした。

初代（1965-1970年）

1965-1968年

1965年に登場した初代カプリスは、当初インパラの豪華版オプションパッケージとして登場しました。上質なシート地、木目調ダッシュボード、専用ホイールカバーなどが装備され、フォード・LTDに対抗するモデルとして人気を博しました。名前の由来は、GMの幹部が通っていたレストランや、インディ500の役員の娘の名前から取られたとされています。1966年には2ドアハードトップと5ドアワゴンが追加され、正式なシリーズとなりました。特にワゴンには木目調トリムが復活し、パワーステアリング、パワーウィンドウ、エアコンなどが装備され、キャデラック・ドゥビルに匹敵する豪華さを備えていました。

1967年にはフロントグリルとテールライトのデザインが変更され、より丸みを帯びたデザインとなりました。また、二系統ブレーキやオプションで前輪ディスクブレーキが搭載可能になり、安全性能が向上しました。1968年には格納式ヘッドライトが選択可能になり、2ドアハードトップの三角窓が廃止されました。

1968-1970年

1968年にはフルサイズ・シボレー各車がモデルチェンジし、バンパーグリルが採用されました。全モデルで三角窓が廃止され、ワゴンは「キングスウッド・エステート」として独立しました。安全基準に対応するため、ヘッドレストやステアリングロックが装備されました。1970年モデルではフロントデザインがやや落ち着いたものになり、前輪ディスクブレーキが標準装備となりました。

2代目（1971-1976年）

1971年モデルではホイールベースが延長され、リアサスペンションにコイルスプリングが採用されました。エンジンは無鉛ガソリンに対応し、高級車としての質が向上しました。「モーター・トレンド」誌によるテストでは、キャデラック・ドゥビルと比較され、価格以上の価値があると評価されました。1972年には「5マイルバンパー」が装備され、4ドア・ピラードハードトップが追加されました。1973年からは「カプリス・クラシック」となり、排ガス規制によりエンジン出力が低下しました。また、2ドア・コンバーチブルが復活し、キングスウッド・ステーションワゴンもカプリス・クラシックのバリエーションに復帰しました。

1974年には後部にも「5マイルバンパー」が装着され、テールライトの位置が変更されました。また、2ドアクーペにはオペラウインドウが装着され、開放感が失われました。1975年には4ドアハードトップにもオペラウインドウが採用されました。2ドアコンバーチブルはこの年で生産を終了しました。第一次石油危機の影響で、低燃費エンジンが標準となり、経済運転を促す機能も追加されました。1976年モデルは2代目最後のモデルとなり、全長5.66m、重量2.18トンに達しました。

3代目（1977-1990年）

1977年モデルではボディサイズとエンジンが小型化され、直列6気筒エンジンが標準となりました。V8エンジンもオプションで選択可能でした。1980年には直6エンジンがV6に変更され、1986年には排気量が拡大されました。1977年型カプリスは好評で、1990年まで基本的に同じ設計で生産されました。1980年と1986年にはデザイン変更が施され、インパラは「カプリス」に改称されました。内装は1985年に金属風に変更されたものの、1987年には木目調に戻りました。2ドアクーペには専用フェンダーモール、4ドアセダンには「Brougham」という上級グレードが設定されました。1987年には2ドアクーペが廃止され、4ドアセダンにはランドゥ風ルーフを持つ「Brougham LS」が追加されました。この時期には、クライスラーやアメリカン・モーターズがフルサイズ車の生産を中止したため、パトロールカーやタクシー市場をフォード・クラウンビクトリアと二分するようになりました。

4代目（1991-1996年）

1991年モデルではボディデザインが一新され、近代的なスタイリングとなりました。同年の「モーター・トレンド」誌のカー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞しました。グレードは「カプリス」と「カプリス・クラシック」の2種類でした。1993年には後輪のスパッツが取り除かれ、1994年には新設計のV8エンジンを搭載した「インパラSS」が追加されました。1996年、GMの方針によりカプリスとインパラは生産を終了しました。

5代目（1999-2006年）

GMはオーストラリアのホールデンで製造されたホールデン・ステーツマンをベースに、中東でシボレー・カプリスを販売しました。右ハンドル仕様と左ハンドル仕様の両方が存在したのが特徴です。

6代目（2006-2017年）

中東

2006年、ホールデン・WMステーツマン/カプリスのモデルチェンジに合わせて、シボレーも新型カプリスを発表しました。グレードはLS, LTZ, SS, Royaleがあり、6.0L V8エンジンが搭載されました。中東地域で高い売り上げを記録し、警察車両にも採用されました。2017年、ホールデンの撤退により生産を終了しました。

北米

2009年、GMはシボレー・カプリス・ポリスパトロールビークル（PPV）を発表しました。警察向けの9C1と覆面パトカー向けの9C3の2つのグレードがありました。2011年からV8エンジン搭載車、2012年からはV6エンジン搭載車が法執行機関向けに販売されました。ロサンゼルス市警察も導入しました。ホールデンの撤退により2017年に生産を終了しました。

シボレー・カプリスは、その歴史の中で様々な変遷を遂げながらも、フルサイズセダンとしての地位を確立し、多くのファンに愛された車でした。

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