シボレー・サバーバン

シボレー・サバーバン：アメリカを代表するフルサイズSUV

シボレー・サバーバンは、ゼネラルモーターズ（GM）がシボレーブランドで販売するフルサイズSUVです。1935年の誕生以来、その長い歴史と進化は、アメリカの自動車文化を象徴するものと言えるでしょう。世界で最も長く製造・販売されている車種の一つであり、その人気は衰えることを知りません。

歴史と特徴

サバーバンは、その初期から広大な室内空間と高い積載能力を誇り、家族での利用からビジネスまで幅広く活用されてきました。初代モデルは、フルサイズSUVの始祖とも言える存在であり、その後のモデルも、時代のニーズに合わせて進化を続けています。GM内では、GMCブランドでもユーコンXLとして販売され、キャデラックブランドではエスカレードESVとして高級SUV市場にも参入しています。また、1990年代にはオーストラリアでホールデンブランドから右ハンドル仕様が販売されていた時期もありました。

その販売地域は、アメリカ、カナダ、メキシコといった北米を中心に、中南米や中東の一部地域に広がっています。2018年には、年間走行距離が最も長い車に選ばれ、翌年には、長持ちする車ランキングで2位にランクインするなど、その信頼性と耐久性は高く評価されています。さらに、1952年以降、1750本以上の映画やテレビ番組に出演した実績から、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに星が贈られたことは、サバーバンの存在感を物語るエピソードと言えるでしょう。

各世代の特徴

初代（1935年 - 1940年）

1935年に登場した初代サバーバンは、貨物用バンと乗用キャリーオールという2つのモデルが設定され、量産車として販売されました。機能性を重視した設計で、金属製のボディを持ち、8人乗り3列シートと、当時のトラックと同等の積載能力を確保していました。フレームは1/2トントラックと共有し、観音開きまたは上下開きのバックドアを備えていました。

2代目（1941年 - 1947年）

1941年にモデルチェンジした2代目モデルは、戦時中は軍用輸送車としても活躍しました。先代同様に8人乗りで、シボレー・AKシリーズトラックとメカニズムを共有しています。バックドアが観音開きのモデルと上下開きのモデルがありました。直列6気筒エンジンを搭載し、シボレー仕様とGMC仕様で排気量が異なっていました。

3代目（1947年 - 1955年）

1947年に登場した3代目モデルは、シボレー・アドバンスデザインのピックアップをベースとしています。1953年には、4速ハイドラマチック（トルコン式AT）が搭載されました。シート配置は、運転席側に2席、助手席側に1席の分割式ベンチシートで、2列目は2/3シートでした。このモデルを最後に、キャノピー・エクスプレス仕様は廃止されました。3代目のデザインは、後のシボレー・HHRにインスピレーションを与えたと言われています。

4代目（1955年 - 1959年）

1955年にモデルチェンジした4代目モデルは、ボンネットが平らになり、フロントフェンダーがボディと同じ高さになるなど、より現代的なデザインになりました。V字型スピードメーターを搭載し、エンジンは直列6気筒とV型8気筒が設定されました。1957年には四輪駆動モデルが追加され、バックドアの形状と合わせて型式が細分化されました。この世代では、GMCのピックアップトラックにも「サバーバン」の名称が使用されました。

5代目（1960年 - 1966年）

5代目モデルは、1960年代のシボレー車の特徴を踏襲し、フロントグリルの大きな楕円形エアインテークが特徴的でした。1962年以降はデザインが変更され、よりモダンな外観になりました。1964年には、フロントウインドシールドの形状が変更され、ドアウインドウが拡大されました。2WDモデルはトーションバースプリングを用いたフロントダブルウィッシュボーンサスペンションを装備していました。このモデルはブラジルでシボレー・ヴェラネイオとしても販売され、30年間生産されました。

6代目（1967年 - 1972年）

6代目モデルは、左右非対称のドア配置が特徴的で、2WDと4WDが用意されていました。283、307、350立方インチのV8エンジンがラインナップし、1971年にはフロントブレーキがディスク化されました。1972年には2WDモデルのリアサスペンションがコイルスプリングである最後のモデルとなりました。

7代目（1973年 - 1991年）

7代目モデルは、18年間という長い期間にわたり製造されました。角の丸いボディスタイルが特徴で、2WDと4WDがラインナップされました。オイルショックの影響から、1982年以降のモデルには6.2LディーゼルV8エンジンが搭載されました。また、電子フューエルインジェクションの導入や、4速オートマチックトランスミッションの採用により、燃費が向上しました。

8代目（1992年 - 1999年）

8代目モデルは、GMT400プラットフォームをベースとして登場しました。独立懸架のフロント・サスペンションが採用され、乗り心地が向上しました。この世代では、ホールデンブランドから右ハンドル仕様が販売されました。ボルテック・エンジンの導入や、フルタイム4WDのオプション設定など、改良が重ねられました。

9代目（2000年 - 2006年）

2000年には、GMT800プラットフォームをベースとした新型モデルが登場しました。GMC版はユーコンXLと改名されました。2WDの他、すべてのモデルでパートタイム4WDモデルのオプション設定がありました。アロイホイールやパワーウィンドウなど、多くのオプションが追加され、Z71オフロード・パッケージも設定されました。

10代目（2007年 - 2014年）

10代目モデルは、GMT900プラットフォームをベースとし、よりエアロダイナミクスを取り入れたデザインとなりました。アメリカのシークレットサービスが使用しており、大統領来日時などには航空輸送されることもあります。

11代目（2015年 - 2020年）

11代目モデルは、ECOTEC3エンジンを搭載し、低燃費を実現しました。後部席の居住性が向上し、3列目シートが床下収納タイプに変更されました。アダプティブクルーズコントロールなどの安全装備も標準装備されました。

12代目（2020年 - ）

現行モデルである12代目モデルは、車体が新設計され、GMの新しいデザインテーマが反映されています。

まとめ

シボレー・サバーバンは、その長い歴史の中で、常に時代に合わせて進化を続けてきました。広大な室内空間、高い積載能力、そして高い信頼性は、多くの人々に愛される理由と言えるでしょう。今後も、サバーバンの進化は続くことでしょう。

もう一度検索