シメオン (クロパの子)

シメオンは、イエス・キリストの従兄弟であり、エルサレム教会の第2代主教を務めた重要な人物です。正教会では「聖使徒神品致命者主の義兄聖シメオン」とも呼ばれ、カトリック教会やルーテル教会でも聖人として崇敬されています。

生涯

シメオンの生涯は、エウセビオスが教会史に引用するへゲシップスの記述によって知られています。それによると、シメオンはイエスの父ヨセフの弟クロパの息子であり、イエスよりも先に生まれています。新約聖書には彼の直接的な記述は見られませんが、ルカ福音書に登場するエマオへの道でイエスと出会った二人の弟子の一人であるクロパが、シメオンの父である可能性が指摘されています。もしそうであれば、もう一人の弟子はシメオンであるかもしれません。

初代エルサレム主教であったイエスの兄弟ヤコブが紀元62年に殉教した後、シメオンは教会の長老たちから全会一致で後継者に選ばれました。第一次ユダヤ戦争中には、他の信者たちと共にペラに避難し、戦後エルサレムに戻って教団を運営しました。

シメオンは120歳になった時、ユダヤ総督アッティコによって捕らえられ、拷問を受けました。当時のローマ皇帝トラヤヌスは、ユダヤ戦争のトラウマからダビデの子孫を根絶しようとしており、シメオンもその血を引いていたため標的にされました。アッティコは高齢のシメオンに棄教を勧めましたが、彼は断固として拒否し、ついに磔刑に処せられることになりました。

シメオンは自ら十字架に進み、釘で打ち付けられ、従兄弟イエスと同様に、自分を殺す者たちのために祈ってから息を引き取りました。120歳の老人が十字架上での苦しみに最後まで耐え抜いたことに、その場に居合わせた人々は深い感銘を受けたと伝えられています。

熱心党のシモンとの混同

シメオンは、12使徒の一人である熱心党のシモンと古くから同一視されることがあります。美術作品において、シモンが十字架を持った老人として描かれるのは、この混同が影響していると考えられます。

シメオンは、その生涯を通して信仰を貫き、自らの命を捧げた殉教者として、今日まで多くの人々に尊敬されています。彼の勇気と信仰は、キリスト教徒にとって大きな模範となっています。

外部リンク

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