映画『シャイアン』:故郷を求めたシャイアン族の苦難
『シャイアン』(原題:Cheyenne Autumn)は、
1964年に公開されたアメリカの
西部劇映画です。監督は、それまでの作品でインディアンを悪役として描くことが多かった
ジョン・フォード。本作では一転して、アメリカ政府のインディアン政策によって苦しめられる
シャイアン族の姿を、重厚なタッチで描き出しています。
あらすじ
1878年、アメリカ政府はインディアンを強制的に居留地へと移住させる政策を推し進めていました。
シャイアン族も例外ではなく、彼らは故郷であるイエローストーンから遠く離れた居留地へと移住させられます。しかし、そこでの生活は過酷を極め、病気や飢えによって多くの命が失われていきました。人口の3分の2が失われるという状況下で、ついに族長のリトル・ウルフとダル・ナイフは、生き残った同胞たちを連れてイエローストーンへ帰るという決断を下します。
しかし、彼らの動きはすぐに政府に察知され、討伐軍が派遣されることになります。討伐軍を率いるアーチャー大尉は、
シャイアン族に同情的な感情を抱いていましたが、一行の中に婚約者のデボラがいることを知り、任務遂行を決意します。故郷を目指す
シャイアン族と、それを阻止しようとする討伐軍。両者の間で、激しい戦いが繰り広げられることとなります。
作品の背景
『シャイアン』は、
ジョン・フォード監督が、自身の過去の作品におけるインディアン描写を反省し、その贖罪の意識から製作されたと言われています。それまでの
西部劇では、インディアンはしばしば野蛮で暴力的な存在として描かれてきましたが、本作では、政府の政策によって土地を奪われ、過酷な生活を強いられるインディアンの苦しみや、彼らの文化、尊厳が丁寧に描写されています。
キャスト
アーサー・ケネディ
リカルド・モンタルバン
キャロル・ベイカー
エドワード・G・ロビンソン
テレビ放送
過去には、以下のテレビ局で日本語吹替版が放送されました。
NHK総合:1969年7月20日『劇映画』
NET(現・
テレビ朝日):
1974年1月5日、12日『
土曜映画劇場』
フジテレビ:1977年12月16日『ゴールデン洋画劇場』
関連情報
シャイアン族: 北米の先住民族の一つ。本作では、彼らの強制移住の歴史が描かれています。
外部リンク
シャイアン - allcinema
シャイアン - KINENOTE
Cheyenne Autumn - オールムービー(英語)
Cheyenne Autumn - IMDb(
英語)
『シャイアン』は、
西部劇というジャンルを通して、アメリカの歴史における負の側面を深く掘り下げた作品です。ぜひ一度、ご覧になってみてください。