シャノアール (コーヒーチェーン)

シャノアール (Chat Noir) の歴史と終焉

シャノアールは、C-United株式会社が運営していた喫茶店チェーンのブランドで、正式名称は「コーヒーハウス・シャノアール」です。フランス語で「黒猫」を意味する「chat noir」に由来し、その名の通り、落ち着いた雰囲気とフルサービスが特徴でした。

創業から全国展開、そして縮小へ

1965年、東京都福生市に1号店をオープン。当初は首都圏を中心に展開していましたが、1980年代から全国に進出しました。1995年には75店舗を数えるほどになりましたが、2000年代以降はコーヒースタンド形式の「カフェ・ベローチェ」が主力事業となり、店舗網は縮小。2010年代には首都圏に店舗を絞り、2014年時点では23店舗となっていました。

同族経営から買収、ブランド消滅へ

創業以来、中村家による同族経営でしたが、2020年に投資ファンドのロングリーチ・グループに買収されました。2021年には株式会社シャノアールが珈琲館株式会社（現：C-United）に吸収合併され、以降は「珈琲館」ブランドへの転換が進められました。

2023年3月24日、最後まで残っていた京王八王子店が閉店し、「コーヒーハウス・シャノアール」のブランドは完全に姿を消しました。

シャノアールの特徴

シャノアールの店舗は、駅前や駅近のビル2階に出店することが多く、1階にはコンビニエンスストアなどの集客力の高いテナントが入っていることがよくありました。店内はゆったりとした客席配置で、フルサービスを提供。ホットブレンドコーヒーが比較的安価でありながら、談話室のような落ち着いた雰囲気で、幅広い年齢層に利用されていました。また、喫煙可能な店舗を多く維持していたことも特徴の一つです。

メニュー

メニューは、コーヒーなどのソフトドリンクに加え、コーヒーゼリーやパフェ・サンデーといったデザート、トースト、サンドイッチ、パスタなどの軽食がありました。軽食はドリンクセットにでき、モーニングセットも提供していました。名物メニューは高さ約30cmの「ビッグパフェ」で、「ストロベリー&チョコ」と「キャラメル」の2種類がありました。

店舗運営と研修

店舗はフランチャイズではなく、直営のコーポレイト・チェーン方式で展開していました。千葉県市川市には研修センターがあり、コーヒー鑑定士の育成にも力を入れていました。

株式会社シャノアール

シャノアールは、かつて「コーヒーハウス・シャノアール」や「カフェ・ベローチェ」などを運営していた会社です。

沿革

以下に、同社の主な沿革をまとめます。

1965年：1号店「珈琲館シャノアール福生」を東京都福生市に開店。
1969年：3号店「新宿珈琲館&洋酒館」を新宿三丁目に開店。
1986年：コーヒースタンド形式の新業態「カフェ・ベローチェ」を開業。
1993年：100号店「シャノアール飯田橋店」を開店。
2002年：社内にコーヒー鑑定士「クラシフィカドール」が誕生。
2004年：創業者で社長の中村脩が死去。妻の歩が代表に就任。
2020年：ロングリーチグループに買収。
2021年：珈琲館株式会社に吸収合併され、法人格が消滅。

その他の店舗ブランド

シャノアールは、「コーヒーハウス・シャノアール」「カフェ・ベローチェ」以外にも、いくつかの店舗ブランドを展開していました。

新宿珈琲館&洋酒館：1969年に開店。後にカフェ・ベローチェ新宿三丁目店となる。
カフェ・ヴィラージュ：1987年に新百合ヶ丘店、1988年に国立店を開店するも閉店。
カフェテリアノックノック：1988年に京王八王子店を開店。後に「リアナパデッラ」へ業態変更し、別会社として独立。
カフェ・ラ・コルテ：コーヒーだけでなくアルコールメニューも充実したカフェバー。

事件・不祥事

株式会社シャノアール時代には、以下のような事件や不祥事がありました。

2007年：雑誌『おとなの週末』の「人気カフェチェーンランキング」で最下位とされ、講談社を提訴。
2013年：カフェ・ベローチェのパートタイマーが、雇い止めと「鮮度」という言葉による人格攻撃を理由に、損害賠償を求め提訴。後に和解。