シャモセール

シャモセール：第二次世界大戦下のサラブレッドの栄光

シャモセール(Chamossaire)は、イギリスで1942年に生まれたサラブレッドです。競走馬として1945年のセントレジャーステークスを制覇し、種牡馬としては1964年にイギリス種牡馬チャンピオンに輝くなど、輝かしい功績を残しました。本記事では、その生涯と血統、競走馬時代、種牡馬時代の活躍について詳しく解説します。

驚異の血統背景

シャモセールは、スピードに優れた牝馬と、長距離レースを得意とするステイヤー血統のプレシピテーションを組み合わせた産駒です。この配合は、当時のイギリスのクラシック競走制覇に理想的と考えられていました。

母系：スピードと名家の血

母スノーベリー(Snowberry)は、ロイヤルアスコット開催のクイーンメアリーステークスなど、数々の競走で勝利した快速馬でした。さらにその母ミロベラ(Myrobella)は、2歳牝馬チャンピオンとして名を馳せ、3歳時にはジュライカップを制覇しています。この家系には、2000ギニー優勝馬で4度リーディングサイアーに輝いたビッグゲーム(Big Game)や、数々の名馬を輩出したゴンドロット(Gondolette)など、錚々たる名馬が名を連ねています。

父系：晩成の巨匠プレシピテーション

父プレシピテーション(Precipitation)は、大型で晩成型の牡馬でした。クラシック競走には間に合いませんでしたが、古馬になってアスコットゴールドカップを制覇。種牡馬としても高い種付料を設定しながらも、予約が殺到するほどの人気ぶりでした。シャモセールは、プレシピテーションの初年度産駒ではなく、2年目の産駒から登場したオークス優勝馬ホワイハリー(Why Hurry)と同世代です。この馬はプレシピテーション産駒の成功の始まりを告げる存在となりました。

激動の時代を駆け抜けた競走馬時代

シャモセールの競走生活は第二次世界大戦末期にスタートしました。戦時下でのクラシック競走で好成績を残し、秋にはセントレジャーステークスで栄冠を掴みました。

誕生と幼少期：戦火の影

シャモセールが誕生した1942年は、ロンドン大空襲やバトル・オブ・ブリテンなど、戦争が激化する時期でした。競馬界も戦争の影響を受け、開催縮小やダービー開催日の変更など、困難な状況が続いていました。1歳時にはイヤリングセールで2700ギニーで購入され、ニューマーケットの厩舎に預けられました。その馬名は、スイスのアルプス山脈にあるシャモセール山に由来しています。

2歳時：戦火の中での好成績

ノルマンディー上陸作戦が行われた1944年、ドイツによるロケット攻撃が激化し、多くの競馬場が閉鎖を余儀なくされました。そんな中、シャモセールは3戦2勝と健闘し、フリーハンデではトップクラスの評価を得ました。

3歳時：クラシックへの挑戦とセントレジャー制覇

3歳時のシャモセールは、2000ギニーでは4着、ダービーでは4着と惜しくも勝利を逃しました。しかし、夏にはキャベナムステークスで勝利。そして、終戦後のセントレジャーでは、ダービー馬のダンテが回避した中、優勝候補のスターリングキャッスルを差し切り、見事優勝しました。この勝利は、戦争の影響でヨーク競馬場で行われたセントレジャーにおいて、10000ポンドを超える高額賞金獲得という結果をもたらしました。その後もジョッキークラブステークス、ジョッキークラブカップで2着と好成績を残し、競走生活を終えました。

種牡馬として新たな成功物語

引退後は種牡馬となり、ニューマーケット近郊で繋養されました。産駒にはムラがありましたが、晩年産駒のサンタクロース(Santa Claus)が大活躍。その活躍により、シャモセールは1964年のイギリス種牡馬チャンピオンの座に輝きました。

活躍した産駒たちと日本競馬への貢献

シャモセールの初期の産駒には、サセックスステークス優勝馬ルサージュ(Le Sage)や、アメリカ遠征で活躍したシャミエ(Chamier)、セントレジャー優勝馬カンブルマー(Cambremer)、アイルランドで活躍したユアハイネス(Your Highness)などがいます。特にシャミエとユアハイネスは日本に輸入され、その血統は日本の競馬界に大きな影響を与えました。サンタクロースは英愛ダービーを制覇し、シャモセールの名をさらに高めました。彼の血統は「サンタクロース系」として受け継がれ、ユアハイネスの子孫には、日本の名馬サクラシンゲキ、サクラユタカオー、サクラスターオーなどがいます。

結論

シャモセールは、戦争という困難な時代を乗り越え、競走馬として、そして種牡馬として偉大な功績を残したサラブレッドです。その血統は、現在でも世界中の競馬界に影響を与え続けています。 シャモセールの物語は、競走馬としての才能、そして血統の偉大さを物語る、まさに伝説と言えるでしょう。

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