シャルル・トゥルヌミール

シャルル・トゥルヌミール

シャルル・トゥルヌミール（Charles Tournemire, 1870-1939）は、フランスの作曲家であり、著名なオルガン奏者でもありました。ボルドーに生まれた彼は、パリ音楽院でセザール・フランクに作曲を学び、スコラ・カントルムではヴァンサン・ダンディのもとで研鑽を積みました。特にオルガニストとしては、即興演奏に卓越した才能を示し、その技術は広く賞賛されました（当時の録音も現存しています）。

教育者としても活動し、パリ音楽院で室内楽を教えたほか、フランツ・リストやフランク自身も務めた歴史あるポスト、聖サント・クロティルド教会の主任オルガニストを長く担当しました。門下からは、後の楽壇を牽引するオリヴィエ・メシアンなど、多くの優れた音楽家を輩出しています。

彼の作品は多岐にわたり、オルガン曲、交響曲、室内楽曲、ピアノ曲、歌曲、宗教曲など、様々なジャンルに及びます。特にオルガン作品は重要で、教会暦に沿って1年間を網羅する膨大な曲集「神秘のオルガン（L'Orgue Mystique）」は、オルガン音楽史における金字塔とされています。

トゥルヌミールの作風は、生涯を通じて変化を遂げました。初期の交響曲などには、師であるフランクやダンディの楽派の伝統が色濃く見られます。しかし、単にその伝統に留まらず、ベルリオーズを思わせるような標題交響曲を好んで作曲するなど、独自の方向性も追求していました。

1910年代頃からは、その音楽語法に新たな要素が加わります。グスタフ・マーラーへの傾倒や、同時代のフランス音楽からの影響が見受けられるようになります。さらに第一次世界大戦後には、当時のヨーロッパ音楽界に広がっていた「バーバリズム（野性主義）」や、無調、多調といったモダニズムの要素が彼の作品にも反映されるようになりました。このような作風の変化は、交響曲だけでなく、オルガン曲やピアノ曲など、他のジャンルの作品にも共通して見られます。

主要な作品の一部を以下に挙げます。

交響曲
交響曲第1番「ロマンティック」作品18
交響曲第2番「ウェサン島」作品36
交響曲第3番「モスクワ」作品43
交響曲第4番「交響的ページ」作品44
交響曲第5番「山の上で」作品47
交響曲第6番 作品48（声楽を伴う）
交響曲第7番「生命の舞曲」作品49（バレエ音楽の要素を含む大作）
交響曲第8番「死の勝利」作品51

室内楽曲
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ（2曲）
チェロソナタ
ピアノ三重奏曲
ピアノ四重奏曲
詩曲

オルガン曲
神秘のオルガン（L'Orgue Mystique）
3つのコラール、7つのコラール
交響的幻想曲
オルガン交響曲
神聖な交響曲
2つの神聖な大壁画

ピアノ曲
ピアノのためのセレナーデ
4手ピアノのためのピアノソナタ
12の詩的前奏曲
シャルトルの大聖堂にて

歌曲
アナトール・ル・ブラの歌

宗教曲
詩篇46、詩篇57
聖ジャンの黙示録
* キリストの受難

シャルル・トゥルヌミールは、フランク派の伝統を受け継ぎつつ、時代と共に自らの音楽を刷新し続けた作曲家であり、オルガン音楽の分野において特に重要な足跡を残しました。その多才な活動は、フランス音楽史の一端を彩っています。

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