シャルル・ド・スチューベン

シャルル・ド・スチューベン（ドイツ語名：カール・フォン・シュトイベン）は、1788年にドイツで生まれ、フランスとロシアで活躍した画家です。歴史画や肖像画を中心に制作し、ロマン主義の画家として知られています。

生涯

スチューベンは、テューリンゲンのバウアーバッハで、ヴュルテンベルク公国の軍人の息子として生を受けました。12歳の時、父がロシア軍の将校となったため、サンクトペテルブルクに移り住み、サンクトペテルブルク美術アカデミーで学びました。ロシア宮廷との関係から、1802年にはザクセン＝ヴァイマル＝アイゼナハ大公カール・フリードリヒと結婚するロシア大公女マリア・パヴロヴナの随員としてヴァイマルへ赴きました。当初は軍人や宮廷役人としての道を歩むはずでしたが、家族ぐるみの知り合いであった詩人、フリードリヒ・フォン・シラーに才能を見出され、画家の道へ進むことを勧められます。1803年、シラーの紹介状を持ってパリの画家、フランソワ・ジェラールを訪ね、弟子入りしました。

ジェラールの下で2年間学んだ後、1805年2月にはエコール・デ・ボザールに入学し、ジャック＝ルイ・ダヴィッド、ピエール＝ポール・プリュードン、ロベール・ルフェーブルといった著名な画家たちに師事しました。1812年のサロン・ド・パリでは、ピョートル大帝をテーマにした歴史画を出展し、高い評価を得てナポレオン1世に買い上げられました。フランス復古王政後も、彼の作品はルイ18世の命によりタペストリーにされ、ロシア皇帝アレクサンドル1世への贈り物となりました。

1820年に結婚し、1823年にはフランス国籍を取得しました。生活のため、エコール・ポリテクニークで美術教師も務めました。1843年にはロシアへ移住し、教会の装飾画などを手がけ、11年間を過ごしました。1854年に脳卒中で倒れ、フランスへ帰国して治療を受けましたが、1856年にパリで亡くなりました。彼の息子、アレクサンドル・ジョゼフ・スチューベン（Alexandre Joseph Steuben, 1814-1862）も画家として活動しました。

作品の特徴

スチューベンの作品は、歴史的な出来事や人物を題材にしたものが多く、ロマン主義的な感情と劇的な表現が特徴です。緻密な描写と鮮やかな色彩によって、見る者を惹きつける力強い画面を作り上げています。また、肖像画においても、人物の内面を深く掘り下げ、その個性や魅力を余すところなく表現しています。

主要作品

『ピョートル大帝』
『アレクサンドル1世の肖像』

参考文献

David Blankenstein: Steuben, Carl Wilhelm von. In: Bénédicte Savoy, France Nerlich (Hrsg.): Pariser Lehrjahre. Ein Lexikon zur Ausbildung deutscher Maler in der französischen Hauptstadt. Band 1: 1793-1843. De Gruyter, Berlin/Boston 2013, ISBN 978-3-11-029057-8, S. 274–277.
Leopold von Pezold: Steuben, Karl. In: Allgemeine Deutsche Biographie (ADB). Band 36, Duncker & Humblot, Leipzig 1893, S. 148 f.

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