シャルル・ロベール・リシェ

シャルル・ロベール・リシェの生涯と業績

シャルル・ロベール・リシェ（1850年8月26日 - 1935年12月4日）は、フランスの著名な生理学者であり、1913年にノーベル生理学・医学賞を受賞した人物です。彼はアレルギー研究の先駆者として広く知られており、その研究は今日でも多大な影響を与えています。

来歴

リシェはパリで生まれ、医師でありパリ大学教授であった父の影響を受けて、幼少期から医学に興味を抱いていました。パリ大学に進学し、当初は外科医を目指して学びましたが、次第に生理学の道に進むことを決意します。1869年に医学の博士号を取得した後、1878年には理学の博士号も手に入れました。1879年、彼はパリ大学医学部の生理学講師に任命され、1887年には生理学教授として昇進しました。

リシェは1913年にアナフィラキシー・ショックの研究によってノーベル生理学・医学賞を獲得し、その成果は後の医学において重要な基盤を築きました。また、体温調整機能の研究も彼の業績の一環です。1927年に大学を退職した後も、彼は平和論の推進や航空科学、さらには精神感応術の研究など、幅広い分野での活動を続けました。

研究・発見

リシェの生理学の研究は、特に血清と関連しています。彼は1888年に、細菌に感染した動物の血液が同じ細菌に対して致命的な影響を与えることを証明しました。この研究を基に、彼は結核の治療に血清を用いる可能性を考え、1890年から結核患者を対象に血清療法の研究を行いました。最終的に、血清は結核治療には適していないと判明しましたが、彼の手法は後にベーリングによって成功裏にジフテリア治療に応用されました。

続いて、1900年ごろには熱帯のクラゲ毒についての研究に着手し、致死量には至らない量を注射した動物に再び同じ量を投与した際に急激な生理反応が見られることを発見しました。この発見は偶然のものではなく、何度も再現可能な現象でありました。1902年には彼自身が「アナフィラキシー」と名付けたこの反応は、現代においてもハチに複数回刺された場合にみられる危険な反応として認識されています。

1903年には、他の研究者によって、クラゲ毒だけでなく様々な毒でもアナフィラキシー・ショックが起こることが明らかにされました。1905年、リシェは注射される毒がアナフィラキシー・ショックを引き起こすのではなく、タンパク質の注入がその原因であることを結論づけました。このことは重要であり、特定のタンパク質が一度血液中に存在するかどうか事前に評価しなければ、血清が無効となる可能性があることを意味します。

1906年には、オーストリアのC.ピルケがショックを引き起こさない生体の反応に「アレルギー」という名称を与えました。さらには、1907年にはアナフィラキシー・ショックを引き起こす血清自体の能力に関する研究成果を発表しました。

また、リシェは心霊現象の研究でも知られており、1905年には心霊現象研究協会（SPR）の会長を務めました。1893年にはイタリアの霊媒エウサビア・パラディーノを調査している最中に、エクトプラズムという半物質を発見し、新たな用語を造り出しました。

リシェの業績は生理学だけでなく、科学のさまざまな分野においても活発に行われ、多方面にわたる探求によって顕著な貢献をしました。

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