シャルル5世 (ロレーヌ公)

シャルル5世レオポール：名目上のロレーヌ公、ハプスブルク家の軍人としての生涯

シャルル5世レオポール（Charles V Léopold, 1643年4月3日 - 1690年4月18日）は、ロレーヌ公（在位：1675年 - 1690年）であり、ドイツ語名はカール5世レオポルト（Karl V. Leopold）として知られています。しかし、彼の在位期間は、ロレーヌ公国がフランスによって占領されていたため、実質的な統治を行うことはありませんでした。彼は、ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝レオポルト1世に仕える軍人としての側面が強く、数々の戦場で活躍しました。

生涯と背景

シャルル5世レオポールは、ニコラ2世とクロード（アンリ2世の娘）の間に生まれました。父の兄であるシャルル4世の死後、名目上のロレーヌ公位を継承しましたが、1670年以降、ロレーヌはフランスのルイ14世によって占領されており、彼はその地を統治することができませんでした。彼はウィーンで生まれ、オーストリアでは軍人として活動しました。

軍事的な活躍

シャルル5世レオポールは、オーストリア軍人として数々の戦いに参加しました。特に重要なのは、以下の2つの戦役です。

オランダ侵略戦争

フランス軍との戦闘で武功を挙げ、その軍事的な才能を示しました。

第二次ウィーン包囲

1683年の第二次ウィーン包囲では、ポーランド王ヤン3世ソビエスキと協力してオスマン帝国軍を破り、その名を轟かせました。この戦いは、ヨーロッパの歴史において重要な転換点となり、オスマン帝国のヨーロッパ進出を食い止める上で大きな役割を果たしました。

大トルコ戦争

1686年、神聖ローマ帝国軍の司令官としてハンガリーに進軍し、ブダを奪還しました。1687年にはモハーチの戦いでオスマン帝国軍に勝利し、その勢いをさらに拡大しました。これらの戦功により、シャルル5世レオポールは軍人としての名声を確立しました。

大同盟戦争

1688年には、バイエルン選帝侯マクシミリアン2世エマヌエルと共にライン川戦線に赴き、フランス軍と戦いました。しかし、この戦いの2年後、1690年に47歳で死去しました。

結婚と家族

1678年、シャルル5世レオポールは神聖ローマ皇帝フェルディナント3世の娘で、レオポルト1世の妹にあたるエレオノーレと結婚しました。エレオノーレは、ポーランド王ミハウ・ヴィシニョヴィエツキの未亡人でもありました。結婚後、シャルル5世レオポールはチロル総督に任じられ、エレオノーレと共にインスブルックに移り住みました。

この夫妻の間には、後のロレーヌ公レオポール・ジョゼフが生まれました。レオポール・ジョゼフの時代に、ロレーヌは再び取り戻されることになります。シャルル5世レオポールの子供たちは以下の通りです。

レオポール・ジョゼフ（1679年 - 1729年）：ロレーヌ公
シャルル・ジョゼフ（1680年 - 1715年）：トリーア選帝侯
エレオノール（1682年、夭折）
シャルル・フェルディナン（1683年 - 1685年）
ジョゼフ（1685年-1705年）
フランソワ・アントワーヌ（1689年 - 1715年）：修道院長

まとめ

シャルル5世レオポールは、名目上のロレーヌ公でありながら、軍人としてハプスブルク家に貢献した人物です。彼の軍事的な才能は、対フランス戦や対オスマン帝国戦で発揮され、ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えました。また、彼の息子であるレオポール・ジョゼフがロレーヌを取り戻したことは、彼の遺産を語る上で重要な要素です。シャルル5世レオポールの生涯は、権力と義務、そして歴史の流れが複雑に絡み合った時代を象徴しています。

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