シャン諸民族民主連盟

シャン民族民主連盟（SNLD）

シャン民族民主連盟（SNLD）は、ミャンマーのシャン州を主な活動地盤とする、シャン族による主要な少数民族政党の一つです。ビルマ語では「ရှမ်းတိုင်းရင်းသားများ ဒီမိုကရေစီ အဖွဲ့ချုပ်」、英語では「Shan Nationalities League for Democracy」と表記されます。

沿革

SNLDは、1988年にクン・トゥン・ウー氏を指導者として結成されました。当時の軍事政権下で実施された1990年の国民議会総選挙では、シャン州において広範な支持を集め、国民民主連盟（NLD）に次ぐ第2党へと躍進する大きな成果を上げました。しかしながら、国家法秩序回復評議会（SLORC）として知られる軍事政権はこの選挙結果を認めず、議会の召集を拒否し続けたため、選出された議員による議会が実際に開かれることはありませんでした。

1993年、軍事政権主導で憲法起草のための国民会議が開始されると、SNLDは当初これに参加しました。しかし、1996年から2003年にかけて国民会議が中断した後、再開された会議への参加をSNLDは拒否する姿勢を示しました。このため、2005年には党の指導者が逮捕され、懲役刑に処せられるなど、軍事政権からの厳しい弾圧に直面することとなりました。これにより、SNLDの軍事政権に対する態度は一層硬化し、2008年に制定された新憲法についてもその受け入れを明確に拒否しました。

その後、2010年の総選挙が実施されることになりましたが、SNLDはNLDと同様にこの選挙をボイコットする道を選択しました。選挙後に発足したテイン・セイン政権が改革姿勢を見せると、SNLDはNLDと同様にこれを一定程度評価し、2012年の補欠選挙の実施に合わせて政党としての再登録を行いました。

民主化が進展し、2015年に実施された総選挙では、SNLDは上院（民族代表院）で3議席、下院（国民代表院）で12議席を獲得し、上下両院合わせて15議席を確保しました。これにより、連邦議会においては第4党としての地位を確立しました。

ここで留意すべきは、SNLDがボイコットした2010年の総選挙に参加し、上院で3議席、下院で18議席、両院合計で21議席を獲得して2011年から2016年までの会期で下院第2党となったシャン民族民主党（SNDP）は、SNLDとは別のシャン族による少数民族政党であるという点です。

他政党との同盟

SNLDは、将来的な国軍、民主主義勢力、そして少数民族勢力による「三者対話」に備え、少数民族政党間の連携を図る目的で2002年に結成された民族連合同盟（United Nationalities Alliance：UNA）に加盟しています。このUNAは、国民民主連盟（NLD）と強い同盟関係を築いています。

まとめ

シャン民族民主連盟（SNLD）は、ミャンマーにおけるシャン族の権利と民主主義の確立を目指し、結成以来、軍事政権の弾圧や政治的な困難に立ち向かってきました。1990年の選挙での躍進、その後の軍事政権との対立、そして民主化移行期における政党再登録と2015年選挙での主要政党としての地位確立など、シャン州の民意を代表する重要な役割を果たしています。

（参考文献：クレーマー, トム (2012). 第４章 ミャンマーの少数民族紛争. 工藤年博 編. ミャンマー政治の実像、長田紀之, 中西嘉宏, 工藤年博 (2016). ミャンマー2015年総選挙. アジア経済研究所.）

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