シャーク湾

シャーク湾：太古の自然が息づく場所

オーストラリア、西オーストラリア州の西海岸中央部に位置するシャーク湾は、1991年にユネスコの世界遺産（自然遺産）に登録された、他に類を見ない独特な景観と生態系を持つ場所です。

地理的特徴

シャーク湾は、東京都と千葉県を合わせたほどの広大な面積を持ちながら、水深はわずか2m程度と非常に浅く、穏やかな湾です。その海岸線は、厚さ5mにも及ぶ貝殻で覆い尽くされており、独特の景観を作り出しています。周辺の陸地は乾燥した荒涼とした風景が広がり、アカシアやユーカリなどの乾燥に強い植物が優占しています。このような環境に適応したシロオビネズミカンガルー、コシアカウサギワラビー、シマウサギワラビー、グールドニセマウス、ニシシマバンディクートなどの動物が生息しています。

海洋生態系の豊かさ

シャーク湾のもう一つの大きな特徴は、その豊かな海洋生態系です。ウーラメル・シーグラス・バンクには広大な海草藻場が広がっており、ハメリン・プール海洋自然保護区には、生きたストロマトライトが存在します。ストロマトライトは、約32億年前に誕生した最古の生命体の一つであり、その現存する姿は非常に貴重です。また、冬でも水温が20℃以上を保つシャーク湾には、ジュゴン、ジンベイザメ、アオ[[ウミガメ]]、アカウミガメ、ハンドウイルカ、ミナミハンドウイルカ、オニイトマキエイなどの多様な海洋生物が生息しており、ザトウクジラやミナミセミクジラも回遊中に立ち寄ります。

保護区

シャーク湾には、以下の多くの保護区が含まれており、この地域の生態系と生物多様性を保護しています。

フライデー島
バーニア島
ドア島
チャーリー島
スモール諸島
コックス島
フランソワ・ペロー国立公園
シャーク・ベイ海洋公園
シェル・ビーチ保護公園
ズイトドープ自然保護区
ハメリン・プール海洋自然保護区
モンキー・マイア保護区
ハメリン・プール/イースト・フォア・アイランド・ハイロー・ウォーター・マーク

世界遺産としての価値

シャーク湾が世界遺産に登録されたのは、以下の4つの基準を満たしているからです。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの: シャーク湾のユニークな景観と豊かな生態系は、他に類を見ない自然の美しさを誇ります。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの: ストロマトライトの存在は、地球の生命の歴史を物語る貴重な証拠です。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの: シャーク湾は、多様な動植物が独自の進化を遂げてきた場所であり、生態学的に非常に重要な場所です。
* (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの: シャーク湾は、絶滅危惧種を含む多くの生物が生息する、生物多様性の宝庫です。

シャーク湾は、その特異な自然環境と生態系から、学術的にも非常に価値の高い場所であり、自然保護の重要性を改めて認識させてくれる場所と言えるでしょう。

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