シャープール5世

シャープール5世、またはシャープーリ・シャフルヴァラーズは、7世紀のサーサーン朝の混乱期に登場した簒奪者です。630年に短期間王位に就きましたが、すぐに廃位され、その後の彼の運命は歴史の闇に消えています。彼の生涯は、サーサーン朝末期の権力闘争と社会の不安定さを象徴しています。

生い立ちと出自

シャープール5世は、サーサーン朝の軍司令官（スパーフベド）であり、一時的にシャーハンシャー（王の中の王）の地位に就いたシャフルバラーズの息子として生まれました。彼の母親は、ホスロー2世の姉妹でした。この血筋は、彼がサーサーン朝の王位を主張する上で一定の正当性を持っていたことを示唆しています。

短期間の統治と廃位

630年、ボーラーンが廃位されると、シャープール5世は王位に就きました。しかし、彼の即位は、サーサーン朝の貴族たちから支持を得られませんでした。彼らはシャープールの統治を承認せず、短期間で彼を廃位しました。その後、彼の従姉妹にあたるアーザルミードゥフトが女王として即位しました。

アーザルミードゥフトへの求婚と拒絶

貴族ファッルフ・ホルミズドは、アーザルミードゥフトが即位すると彼女に求婚しました。シャープール5世もこの求婚に賛成しましたが、アーザルミードゥフトはこれを拒否しました。彼女は、シャープール5世が（簒奪者の自分が）賛成したことに怒りを感じたとされています。この出来事は、当時の権力構造の複雑さと、王位を巡る人々の思惑が入り乱れていたことを示しています。

その後の消息

アーザルミードゥフトへの求婚の一件以降、シャープール5世に関する記録はほとんど残っていません。彼のその後の消息は不明であり、歴史の表舞台から姿を消しました。彼の短い統治は、サーサーン朝の衰退期における混乱と権力闘争の一つのエピソードとして語り継がれています。

シャープール5世の生涯は、サーサーン朝末期の政治的混乱と権力闘争を垣間見ることができる興味深い事例です。彼の短い統治と、その後の消息不明な運命は、歴史の謎として今もなお人々の関心を引きつけています。

参考文献:
* Pourshariati, Parvaneh (2008). Decline and Fall of the Sasanian Empire: The Sasanian-Parthian Confederacy and the Arab Conquest of Iran. London and New York: I.B. Tauris. ISBN 978-1-84511-645-3.

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