アーザルミードゥフト

アーザルミードゥフト：サーサーン朝の女王

アーザルミードゥフト（在位：630年 - 631年）は、7世紀のサーサーン朝ペルシアの女王です。父はホスロー2世であり、従兄弟のシャープール5世の跡を継いで王位に就きました。

生涯

アーザルミードゥフトは、ホスロー2世の娘として生まれました。母親は記録に残っていません。彼女にはマルダーンシャー、Juvansher、ファッルフザード・ホスロー5世、カワード2世、シャフリヤール、ボーラーンなど、多くの兄弟姉妹がいました。628年、父ホスロー2世は貴族たちによって廃位され、息子のカワード2世が王位を簒奪しました。カワード2世は兄弟たちを処刑し、Juvansherとファッルフザード・ホスロー5世のみが難を逃れました。しかし、カワード2世も数ヶ月後にペストで死去し、7歳の息子アルダシール3世が王位を継承します。アルダシール3世もまた、将軍シャフルバラーズによって殺害され、シャフルバラーズが王位を僭称しました。その後、貴族ファッルフ・ホルミズドによってシャフルバラーズは殺害され、ファッルフ・ホルミズドの一派はボーラーンを女王として擁立しました。しかし、ボーラーンはシャープール5世によって廃位されます。

シャープール5世は将軍ペーローズ・ホスローの一派から承認されず、排除されました。そこで、アーザルミードゥフトに王位に就く機会が巡ってきました。権力掌握のため、ファッルフ・ホルミズドはアーザルミードゥフトに結婚を申し込みますが、彼女はこれを拒否し、ミフラーン家のSiyavakhshの協力を得てファッルフ・ホルミズドを殺害しました。しかし、その後すぐにファッルフ・ホルミズドの息子ロスタム・ファッロフザードによって殺害され、ボーラーンが再び王位に就きました。

アーザルミードゥフトの治世は短期間であり、サーサーン朝末期の混乱を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。彼女は権力闘争の渦に巻き込まれ、最終的には暗殺されるという悲劇的な結末を迎えました。彼女の生涯は、当時のサーサーン朝の政治情勢の不安定さを物語っています。

参考文献

パヴァーナ・プルシャリアーティー『Decline and Fall of the Sasanian Empire: The Sasanian-Parthian Confederacy and the Arab Conquest of Iran』I.B. Tauris, 2017
Shapur Shahbazi, A. (2005). "SASANIAN DYNASTY". Encyclopaedia Iranica, Online Edition.

読書案内

John Martindale:The Prosopography of the Later Roman Empire IIIa. Cambridge, 1992, p. 160
Antonio Panaino:Women and Kingship. Some remarks about the enthronisation Boran of Queen and her sister Azarmigduxt. In: Josef Wiesehöfer, Philip Huyse (eds):Eran ud Aneran. Studien zu den Beziehungen zwischen dem Sasanidenreich und der Mittelmeerwelt. Stuttgart 2006, p. 221-240.

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