シュマルカルデン同盟とは？意味をやさしく解説

シュマルカルデン同盟：宗教改革期のプロテスタント 同盟

シュマルカルデン同盟（Schmalkaldischer Bund）は、16世紀の神聖ローマ帝国において、プロテスタント（ルター派）の諸侯と都市が結成した軍事同盟です。1531年、アウクスブルク帝国議会後のシュマルカルデンで、皇帝カール5世に対抗するために設立されました。

同盟結成の背景

1530年のアウクスブルク帝国議会では、ルター派諸侯が『アウクスブルク信仰告白』を提出しましたが、カトリック勢力からの教会財産返還要求が強まりました。皇帝カール5世はこれを一旦認めたものの、ルター派諸侯は自分たちの領土や財産が奪われることを恐れ、反皇帝同盟を結成するに至ります。

同盟を主導したのは、ヘッセン方伯フィリップとザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒの2人です。彼らのもとに、アンハルト、ブレーメン、ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公国、マクデブルク、シュトラスブルク、ウルムなどの都市が加わりました。その後も、コンスタンツなどの都市が参加し、同盟は拡大していきます。

同盟の拡大と対外関係

1532年にはフランス王フランソワ1世と同盟を結び、1538年にはデンマークとの連携にも成功します。シュマルカルデン同盟は、その領内でカトリック[[教会]]の財産を没収し、司教やカトリック貴族を追放することで、ルター派の勢力拡大を推し進めました。

しかし、1544年にカール5世がフランソワ1世との和約に成功すると、カール5世はシュマルカルデン同盟との決着を図るため、ローマ教皇パウルス3世やバイエルンと手を結びます。さらに、同盟の有力者であるザクセン公モーリッツを味方に引き入れることに成功し、同盟内部の亀裂を深めていきます。

シュマルカルデン戦争

1546年、ついにシュマルカルデン同盟はカール5世に対して宣戦布告し、シュマルカルデン戦争が勃発します。カール5世は各地で同盟軍を破り、1547年 4月にはミュールベルクの戦いで同盟軍を壊滅させ、指導者であったヨハン・フリードリヒとフィリップを捕虜としました。これにより、シュマルカルデン同盟は事実上崩壊します。

カール5世はアウクスブルクに諸侯や都市代表を集め、ルター派を異端とする暫定規定の受諾を迫りました。しかし、プロテスタントだったモーリッツは、このやり方に反発し、1552年にカール5世を襲撃して逃亡させます。

パッサウ条約とアウクスブルクの和議

その後、カール5世は弟フェルディナント1世にモーリッツとの和平交渉を委ねます。1552年8月には、ルター派を容認するパッサウ条約が締結され、1555年にはアウクスブルクの和議が結ばれました。この和議はパッサウ条約を原型としており、これによりルター派は公認され、神聖ローマ帝国における宗教対立は一時的に緩和されました。

シュマルカルデン同盟の構成員

シュマルカルデン同盟には以下の地域や都市が参加していました。

アンハルト (Anhalt)
ブレーメン (Bremen)
ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公国 (Brunswick-Lüneburg, Herzogtum Braunschweig-Lüneburg)
マクデブルク (Magdeburg)
マンスフェルト (Mansfeld)
シュトラースブルク (Strassburg)
ウルム (Ulm)
コンスタンツ (Constance, Konstanz)
ロイトリンゲン (Reutlingen)
メミンゲン (Memmingen)
リンダウ (Lindau)
ビーベラハ (Biberach)
イスニュ (Isny im Allgäu)
リューベック (Lübeck)

シュマルカルデン同盟