シュレーゲルアオガエル

シュレーゲルアオガエルについて

シュレーゲルアオガエル（学名：Zhangixalus schlegelii）は、両生綱無尾目アオガエル科に分類される日本固有のカエルです。

分布

本州、四国、九州とその周辺の島々に分布していますが、対馬には生息していません。日本固有種として、限られた地域に生息しています。

分類

学名の由来は、オランダのライデン王立自然史博物館の館長であったヘルマン・シュレーゲル氏に敬意を表して名付けられました。タイプ産地は日本ですが、詳しい場所は不明です。タイプ標本は大英博物館に保管されています。

モリアオガエルとは姉妹種の関係にあると考えられており、以前は広義のアオガエル属であるRhacophorus属に分類されていましたが、2019年に新設された狭義のアオガエル属Zhangixalus属に分割されました。ただし、Zhangixalus属をRhacophorus属の亜属とする説も存在します。

形態

シュレーゲルアオガエルのオスは体長32～43mm、メスは43～53mmと、メスの方が大きいです。オスは喉の下に単一の鳴嚢を持ち、これを膨らませて鳴きます。体色は、腹側は白く、背中側は緑色ですが、保護色として褐色を帯びることもあります。虹彩は黄色で、指の間には水かきが発達しています。

外見はモリアオガエルの無斑型に似ていますが、シュレーゲルアオガエルの方がやや小型で、虹彩が黄色いことで区別できます。また、ニホンアマガエルにも似ていますが、より大型で、鼻筋から目、耳にかけて褐色の線がないこと、褐色になってもまだら模様が出ないことなどで見分けられます。

卵の大きさは約2.5mmで、幼生であるオタマジャクシは成長すると全長49mmに達し、細長い尾を持ちます。変態直後の体長は15～16mm程度です。

生態

水田や森林などに生息し、繁殖期には水田や湖沼に集まります。繁殖期は主に4月から5月にかけてですが、地域によっては2月から8月までと幅があります。食性は肉食性で、昆虫類や節足動物などを捕食します。

繁殖期になると、オスは水辺の岸辺で「コロロ・コロロ…」という、ニホンアマガエルよりも小さく高い声で鳴きます。多くの場合、地中の小さな穴の中で鳴くため、姿を確認することが難しいです。1匹のメスに複数のオスが集まり抱接し、水辺の岸辺にクリーム色の泡で包まれた3cmから10cmほどの卵塊を産みます。卵塊には200個から300個ほどの卵が含まれていますが、土中に産卵することも多く、あまり目立ちません。孵化したオタマジャクシは、雨で泡が溶けるとともに水中へ流れ落ち、水中生活を始めます。

地域によっては、タヌキがこの卵塊を襲うことが知られています。タヌキは夜間に畦にある卵塊の入った穴を掘り返し、中の卵塊を食べるため、翌朝には水田の縁に泡と少数の卵が残されていることがあります。

保全状況

シュレーゲルアオガエルは、栃木県、千葉県、兵庫県でレッドリストの準絶滅危惧種に指定されています。一部地域では、開発による生息地の減少や餌の減少により生息数が減少していると考えられています。しかし、日本全体では分布も広く、個体数も少なくないため、環境省のレッドリストには指定されていません。国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストでも軽度懸念（LC）と評価されており、個体数は安定しているとされています。

参考文献

前田憲男・松井正文『改訂版 日本カエル図鑑』文一総合出版、1999年。ISBN 978-4829921302。
内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎『決定版 日本の両生爬虫類』平凡社、2002年9月20日。ISBN 4-582-54232-8。

関連項目

アオガエル科
アオガエル属

もう一度検索