ショコラの見た世界

ショコラの見た世界

概要

2007年に劇場公開された日本のファンタジードラマ映画、『ショコラの見た世界』は、上映時間50分の短編作品として位置づけられています。監督は数々の話題作を手掛ける行定勲。本作がユニークなのは、その制作背景にあります。もともと、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ（現：ソニーモバイルコミュニケーションズ）製の携帯電話端末「SO903i」のテレビコマーシャルとして企画・制作された短編映像を、さらに物語を深めて長編化した「完全長編版」として劇場で公開された作品なのです。配給はティ・ジョイとショウゲートが共同で担当しました。

プレミアム試写会は公開に先立つこと半年、2007年4月5日に新宿バルト9にて開催されました。そして、正式な劇場公開は同年10月13日、同じく新宿バルト9にて始まりました。単館上映ながら、その独特の世界観と話題性から注目を集め、同年11月9日には山形国際ムービーフェスティバルの招待作品としても上映されました。劇場公開後、2008年3月21日にはDVDソフトも発売され、映画館に足を運べなかった観客も作品を鑑賞できるようになりました。

ストーリー

物語の主人公はテンコ。幼い頃のテンコ（演：藤本七海）にとって、何よりも楽しみだったのは、優しい姉、ショコラ（演：竹内結子）が聞かせてくれる不思議なおとぎ話の時間でした。ショコラの語る空想の世界に心を躍らせていたテンコですが、ある日突然、姉のショコラは家族の前から姿を消してしまいます。

それから七年の歳月が流れ、浪人生となったテンコ（演：大塚ちひろ）は、姉の行方を知る手がかりもなく、日々の生活を送っていました。そんなある日、テンコは偶然、姉が生前交流があったという男性、ジダン（演：和田聰宏）と出会います。ジダンとの会話の中で、テンコは驚くべき事実を知ることになります。それは、ジダンの携帯電話に、かつてショコラがテンコに語り聞かせたはずの「おとぎ話」が、まるで現実の出来事を記録したかのような映像として残されていたということでした。

姉のおとぎ話が単なる空想ではなかった可能性に直面したテンコは、ジダンの携帯電話に残された映像を手がかりに、失踪した姉の足跡と、そのおとぎ話に隠された真実を追い求める旅に出ることになります。携帯電話の画面を通して垣間見る、姉が見たかもしれない「世界」。それは、彼女が突然姿を消した理由とどう繋がっているのでしょうか。物語は、妹が姉の「見た世界」を追体験する中で、姉妹の絆と、記憶の不確かさ、そして現実とファンタジーの境界線を探っていきます。

主なスタッフ

監督: 行定勲
原案・脚本: 伊藤ちひろ
音楽: 寺嶋民哉
撮影: 中山光一
美術: 山口修

主要キャスト

ショコラ（初子）: 竹内結子
テンコ（典子）: 大塚ちひろ
ジダン（治男）: 和田聰宏
テンコ（小学生時代）: 藤本七海

主題歌

「True Colors」: K （ソニー・ミュージックレコーズ）

本作は、携帯電話という現代的なアイテムが物語の鍵となり、行定勲監督ならではの抒情的で映像美豊かな表現で、ファンタジーと現実が交錯する独特の世界観を描き出しています。失踪した姉の面影を追う妹の姿を通して、観る者に様々な感情を呼び起こさせる作品と言えるでしょう。

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