シルフ

シルフとは：風を司る精霊・妖精

シルフ（Sylph）またはシルフィード（sylphid）は、四大精霊の一員であり、風を司る精霊または妖精として知られています。その起源は、16世紀の錬金術師パラケルススに遡ります。彼は著書の中でシルフを、空気の要素を持つ目に見えない精霊と定義しました。姿を現す際には、ほっそりとした優美な人間の少女に似ているとされています。

錬金術と文学におけるシルフ

西洋の錬金術、特にパラケルススに由来する流れにおいては、錬金術師や薔薇十字団などの活動を通じて、シルフはヘルメス主義的な文献で頻繁に言及されました。

アレクサンダー・ポープの『髪盗人』

シルフに関する議論が西洋の主流派に広まったのは、アレクサンダー・ポープの作品『髪盗人』がきっかけでした。ポープは作品の中で、薔薇十字団や錬金術に関するフランス語の文献を風刺し、独自のシルフ理論を展開しました。彼は、英雄詩や疑似科学的な「暗黒の、神秘的な」文献のパロディーとして、新しい錬金術を創造し、その中でシルフを神秘的、化学的に凝縮された気難しい女性の体液として表現しました。

ポープの詩では、かんしゃく持ちで虚栄心の強い女性は、死後に魂が天に昇ることができず、暗黒の霧となってシルフになるとされています。ヒロインであるベリンダには、小さなシルフの一団が仕えており、彼女の虚栄心を育て、美しさを守っていました。これはパラケルススのパロディーであり、ポープは疑似科学的な錬金術を模倣することで、うぬぼれの強い女性が外見を飾ることにどれほど真剣であるかを表現しました。

ポープは、ジョン・ミルトンの『失楽園』のパロディーを用いて、男爵がベリンダの髪を一房切り取ろうとする場面を描きました。その際、シルフたちは空気の体でハサミの刃の間に入り込み、ベリンダの髪を守ろうとしました。物語に登場するシルフたちの隊長は、ウィリアム・シェイクスピアの『テンペスト』に登場するプロスペローに仕える風の精霊と同じ、アリエルという名前が付けられています。

シルフの関連性

バレエ作品『ラ・シルフィード』では、シルフは中世の妖精物語や妖精と関連付けられています。また、他の精霊的な存在との混同（例えば、ウィリアム・シェイクスピアの『夏の夜の夢』など）により、細身の女性が「シルフ」と呼ばれることがあります。

現在では、「シルフ」という言葉は、小さな精霊や風の妖精全般を表す一般語として使われるようになりました。ファンタジー作品の作者たちは、しばしばシルフを作品に登場させています。シルフは空気の羽を使って空に巨大で芸術的な雲を作り出すことができる、という設定も見られます。

参考文献

安田均／グループSNE『モンスター・コレクション 改訂版 中』富士見ドラゴンブック、1996年 ISBN 4-8291-4311-8

関連項目

四大精霊
サラマンダー (妖精)|サラマンダー_(妖精)
ウンディーネ
* ノーム (妖精)

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