シルヴァーナー

シルヴァーナー (Sylvaner または Silvaner)

シルヴァーナーは、主にアルザスとドイツで栽培されている白ワイン用ブドウ品種で、正式名称はグリューナー・シルヴァーナー (Grüner Silvaner)です。その起源は古く、多様な歴史と特徴を持つブドウ品種です。

特徴

シルヴァーナーから作られるワインには二面性があります。樹勢が強く、果実は中性的で個性の無い香りであるため、収量管理が重要です。収量が制御されない場合、個性のないワインになる可能性があります。しかし、この特性はテロワールを表現するためのキャンバスとしての役割を果たし、熟練したワイン造りによってエレガントなワインを生み出すことができます。酸度が高く、自然に果汁中の糖度が上がりやすい性質から、リースリングやエルプリングなどの他の品種とブレンドされ、デザートワインとして用いられることもあります。

歴史

シルヴァーナーは中央ヨーロッパのトランシルヴァニアで古くから栽培されてきた品種です。ドイツでは、かつてリープフラウミルヒの構成原料として広く知られていましたが、1970年代には品質が低下しました。しかし、フランケン地方では、他のドイツのワイン地域と比較して、長期にわたり高い評価を維持していました。DNA型鑑定の結果、サヴァニャンとハンガリー土着品種のエースターライヒッシュ・ヴァイス（「オーストリアの白」の意味）の交配種であることが判明し、オーストリア帝国（トランシルヴァニア公国）に起源を持つと考えられています。

ドイツには、1659年4月5日にフランケン地方のカステル郡でオーストリアのシルヴァーナーが植えられた際に導入されたとされています。ドイツでは2009年にシルヴァーナー栽培350周年を祝いました。名前の由来は、ラテン語の "silva" (森) または "saevum" (野生) に関連付けられており、品種が野生のブドウと密接な関係があったことを示唆しています。

第二次世界大戦後、シルヴァーナーはドイツとアルザスで広く栽培され、1960年代から1970年代にかけて、総ブドウ園面積のそれぞれ30％、25％を占めました。1970年頃にミュラー・トゥルガウに追い越されるまでは、ドイツで最も栽培されていた品種でした。しかし、過剰生産がその評判を損ない、多くのブドウ畑が荒廃しました。フランケン地方では、リープフラウミルヒが生産されなかったため、シルヴァーナーは人気を維持し、主に辛口の白ワインに使用されていました。

近年、良質なブドウ畑での低収量栽培方法に基づいたアルザスでの復活が見られ、2006年にはゾッツェンベルクのシルヴァーナーがアルザス・グラン・クリュに指定されました。

ワインと流通

オーストラリア

1970年代、ブラウンブラザーズがビクトリア州北東部でシルヴァーナーの実験を行いましたが、大きな成果は得られませんでした。

オーストリア

オーストリアでは、辛口ワインのトレンドにより、シルヴァーナーの栽培面積はわずか34ヘクタールに減少しています。

クロアチア

クロアチアでは、シルヴァナツ・ゼレニとして知られ、スラヴォニアとスレム地域で栽培されています。近年、オラホヴィカの高品質なやや甘口のシルヴァナツ・ゼレニは、クロアチアで人気の高い白ワインの一つとなっています。

フランス

アルザスでは、シルヴァーナーは物議を醸す存在です。2006年以降、ゾッツェンベルクのブドウ園に限定されていますが、アルザス・グラン・クリュでの使用が認められました。しかし、その使用は限定的であり、ジャン・トランバックは「シルヴァーナー・グラン・クリュはゾッツェンベルクでのみ製造可能であり、テロワールとして認知されるべきだが、そこで止めておくべきだ」と述べています。

ドイツ

ドイツでは、1659年にカステル郡で最初に記録されたシルヴァーナーが、1960年代から1970年代にかけてブドウ園の30％を占めるほどに拡大しました。しかし、リープフラウミルヒ時代の過剰生産がその名声を傷つけ、フランケン地方に撤退しました。フランケン地方の白亜土壌（ムッシェルカルク）のテロワールでは、リースリングと競合できる高品質なワインが生産されています。ドイツ高級ワイン生産者協会（VDP）の規定によれば、シルヴァーナーはグロセス・ゲヴェックス（トップエンドの辛口ワイン）に使用できますが、フランケン地方とザール・ウンシュトルト地域のみに限定されています。

ルーマニア

シルヴァーナーの故郷とされるトランシルヴァニアでは、シルヴァーナー・ロズ（ロゼ）とシルヴァーナー・ヴェルデB（グリューナー・シルヴァーナー）の2品種が栽培されています。

スロバキア

スロバキアのリムバッハ村では、伝統的にシルヴァーナーが栽培されており、その周辺地域で有名なワインが生産されています。

スイス

スイスでは、ヨハニスベルクまたはシルヴァーナーとして知られるシルヴァーナーが栽培されています。

アメリカ

1858年、エミール・ドレーゼルが最初のシルヴァーナーの切り枝をアメリカに持ち込み、カリフォルニア州ソノマ郡に植えました。現在、スクライブワイナリーが1エーカーを栽培しています。カリフォルニア州のサンタマリアバレーAVAでも栽培されています。

ブドウとブドウ栽培

シルヴァーナーは、3つの突起がある葉を持ち、活発で生産的なブドウです。房は小さく円筒形で、中程度の緑の果実が素早く熟す早生品種です。1940年には、シャスラと交配されて白葡萄品種のノーブリングを生産しました。

別名

シルヴァーナーは、多くの別名で呼ばれています。代表的なものとして、Arvine, Augustiner Weiss, Frankenriesling, Johannisberger, Sylvaner vert, Grüner Silvanerなどがあります。

関連項目

• - ブドウ品種の一覧
• - ブドウ
• - ドイツワイン
• - ワイン用ブドウ品種の一覧

もう一度検索