シルヴィサウルス

シルヴィサウルス（Silvisaurus）

シルヴィサウルスは、白亜紀中期に現在の北米大陸、特にカンザス州周辺に生息していたノドサウルス科に属する草食恐竜です。学名はラテン語の「silva（森林）」とギリシャ語の「sauros（トカゲ）」を組み合わせたもので、「森林のトカゲ」という意味を持ちます。

発見と命名

シルヴィサウルスの化石は、1950年代にカンザス州オタワ郡の牧場主、ウォーレン・H.コンドレイによって発見されました。彼は上院議員のフランク・カールソンを通じてカンザス大学の学長に連絡を取り、化石の調査が始まりました。1955年7月、カンザス大学博物館のラッセル・R.キャンプがコンドレイの協力を得て骨格を発掘しました。化石のクリーニング後、1961年にセオドア・H.イートン・ジュニアによって新属新種として記載され、Silvisaurus condrayi（シルヴィサウルス・コンドライ）と命名されました。種小名は発見者のコンドレイに献名されています。

現在、シルヴィサウルス属に分類されているのは、このタイプ種のみです。

ホロタイプ標本（KU 10296）は、カンザス州のダコタ累層（アルビアン後期からセノマニアン前期）の露頭から発見されたもので、頭骨を含む不完全な骨格から構成されています。化石の状態は良好とは言えず、一部は印象化石や自然のキャストとして残っているに過ぎません。

形態と特徴

化石資料から推定されるシルヴィサウルスの体長は約4メートル、頭骨の長さは33センチメートル、幅は25センチメートルでした。他のノドサウルス科と比較して、二次口蓋の発達が未発達であり、後頭骨基部の隆起が球根状であるといった特徴があります。歯骨には少なくとも25本の歯があり、前上顎骨にも歯を持つことから、ノドサウルス科の中では比較的原始的な形態を持っていたと考えられています。

また、一般的な円形や多角形の皮骨に加え、肩や尾には骨質の棘があったと推測されています。頭部には広い空気の通り道があり、大きな声を出すことでコミュニケーションを取っていた可能性も指摘されています。

分類

シルヴィサウルスは、ノドサウルス科の中でも比較的原始的なメンバーとされています。系統解析の結果、サウロペルタやパウパウサウルスなどと共に、基盤的な位置を占めていることが示唆されています。

古生物学的な意義

シルヴィサウルスは、ノドサウルス科の進化を研究する上で重要な情報を提供してくれる恐竜です。原始的な特徴を残した顎の構造や、特徴的な装甲の配置などは、後の時代のノドサウルス科の進化を理解するための手がかりとなります。また、化石が発見された地層から、当時の生態系や環境を推測することも可能です。

もう一度検索