シロ (スーパーマーケット)

株式会社シロ：イオングループの礎を築いたスーパーマーケット

株式会社シロは、日本のスーパーマーケット業界において重要な役割を果たした企業です。大阪府北摂地域を拠点に展開し、現在のイオングループの形成に大きく貢献しました。その歴史は、衣料品販売から始まり、スーパーマーケットへの転換、そしてジャスコ設立への参画と、数々の転換期を経て発展を遂げました。

創業からスーパーマーケットへの転換

1955年、大阪府豊中市で飯田株式会社として創業。当初は衣料品の生地販売や染色、機械販売、アパート経営を事業としていました。しかし、創業者の井上次郎氏の経営手腕により、1955年末にはアパートの一部を改装し、婦人服の仕立て業を開始。その後、1961年には資本金を増資し、アパート経営から撤退、衣料品小売業に特化し、「シロ」1号店をオープンしました。「シロ」という社名は、白色が全ての色の出発点であるという理念、そして純真な姿勢でお客様と接するという井上次郎氏の想いを込めたものです。

1号店は当初20坪でしたが、1961年には350坪に拡大し、量販店へと発展しました。1963年には、本部集中一括仕入れ方式を採用し、本社を豊中市から吹田市に移転。同時に、社名を「株式会社シロ」に変更しました。この頃には、大阪府を中心に10数店舗を展開するまでに成長していました。

ジャスコ設立への参画と合併

1960年代後半、シロは、ダイエーの台頭など、激しい競争の中で経営の危機感を募らせていました。そんな中、三重県の岡田屋と兵庫県のフタギが共同仕入会社設立で合意。シロもこの計画に参画し、1968年、3社による合弁会社としてジャスコ（初代）が設立されました。ジャスコ設立は、現在のイオンの礎を築く重要な出来事でした。井上次郎氏はジャスコ（初代）の副社長に就任しましたが、1969年に急逝。この出来事は、シロの経営に大きな影を落としました。

経営不振に陥ったシロは、1970年代初頭に京阪ジャスコに社名変更し、フランチャイジーとなりました。そして1972年、ジャスコ（2代目）に合併されました。ジャスコ（2代目）は、後にイオンへと発展していきます。

イオンとシロ

井上次郎氏の遺族は、ジャスコ、そしてイオンの経営には関与しませんでした。しかし、イオンはシロを岡田屋、フタギと共に、企業の源流として位置付けています。イオンの社史には、シロの創業から合併までの経緯が詳細に記されています。これは、シロがイオンの歴史において重要な役割を果たしたことを示しています。

シロの店舗とその後

シロの店舗は、2021年に最後の店舗が閉店し、歴史に幕を閉じました。しかし、シロの1号店があった豊中市庄内には、2022年にイオンタウン豊中庄内が開業。これは、シロの創業地へのイオンの“再進出”と言えるでしょう。この出来事は、シロという企業が、イオンの歴史に深く根付いていることを改めて示しています。シロの歴史は、イオングループの成長の軌跡を理解する上で、欠かせない重要な要素と言えるでしょう。

参考文献

『日本スーパーマーケット名鑑』1969年版（商業界）
日外アソシエーツ 編『日本の創業者―近現代起業家人名事典』（2010年）

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