シロネ属

シロネ属（Lycopus）

シロネ属は、シソ科に分類される植物のグループです。学名は Lycopus と表記され、和名では「白根属」と漢字で表されます。

特徴

シロネ属の植物は、湿地を好んで生育する多年草です。以下のような特徴を持ちます。

葉: 葉は対になって生え（対生）、縁には鋭い鋸歯があるか、または羽状に深く裂けています。葉柄がないものが多く見られます。
花: 小型で、葉の付け根（葉腋）に密集して咲きます。小苞は針のような形をしていることが多いです。
萼: 萼は鐘のような形をしており、先端が4-5つに等間隔に裂けています。
花冠: 花冠も小型の鐘形で、先端がほぼ等間隔に5つに裂けています。
雄蕊: 雄蕊は4本あり、下側の2本が完全な雄蕊で、上側の2本は仮雄蕊となるか、または退化して存在しない場合があります。
果実: 果実は分果で、扁平な3稜形のくさび形をしており、先端は切り取ったような形になります。

分布

シロネ属の植物は、ヨーロッパ、アジア、北アメリカに約10数種が分布しています。日本には、以下の5種が分布しています。

日本に分布する種

コシロネ (Lycopus cavaleriei)：別名サルダヒコ、イヌシロネ。北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国に分布。
シロネ (Lycopus lucidus)：北海道、本州、四国、九州、東アジア、北アメリカに分布。
ヒメシロネ (Lycopus maackianus)：北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国東北部、東シベリアに分布。
ヒメサルダヒコ (Lycopus ramosissimus var. ramosissimus)：本州、四国、九州、朝鮮半島、中国に分布。コシロネと区別されないこともあります。
エゾシロネ (Lycopus uniflorus)：北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国東北部、シベリア、北アメリカに分布。

和名・学名の由来

シロネ属の和名「シロネ」は、白い根、つまり地下茎が白いことに由来します。学名の Lycopus は、ギリシャ語の lykos（オオカミ）と pous（足）を組み合わせたもので、「オオカミの足」という意味になります。しかし、なぜそのような名前が付けられたのかは、はっきりとはわかっていません。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III合弁花類』、1981年、平凡社
林弥栄監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
Lycopus Tropicos
* Lycopus The Plant List.

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