シロネ

シロネ（白根）の詳細解説

シロネ（学名：Lycopus lucidus）は、シソ科シロネ属に分類される多年草です。その名の通り、白い地下茎が特徴で、日本を含む東アジアや北アメリカに分布しています。

特徴

シロネは、太く白い地下茎を横に伸ばして繁殖します。茎は直立し、四角形で高さ80cmから120cm程度まで成長します。節の部分がやや黒色を帯び、白い毛が生えているのが特徴です。葉は対生し、広披針形から狭長楕円形で、長さは8cmから15cm程度。縁には粗い鋸歯があり、表面は光沢があります。

花期は8月から10月で、上部の葉腋に小さな花を密集させて咲かせます。萼は5裂し、裂片は細く尖っています。花冠は白色で、上唇が2裂、下唇が大きく3裂した唇形をしています。雄蕊は2本あり、個体によって雄蕊が長く花柱が短いものと、その逆のものが見られます。果実は4個の分果からなり、分果はくさび形をしています。

分布と生育環境

シロネは、日本国内では北海道から九州にかけて分布し、池や沼の周辺などの湿地に生育します。海外では、東アジアや北アメリカに分布しています。

和名の由来

和名「シロネ」は、その白い地下茎に由来します。

利用

シロネは、晩秋から初冬にかけて地下茎を食用として利用します。採取した地下茎は丁寧に洗い、熱湯で茹でてから、味噌煮や辛子マヨネーズなどで食されます。また、生のまま天ぷらやバター炒め、フライ料理などにも利用可能です。

下位分類

シロネには、茎や葉裏に長い毛があるケシロネ（Lycopus lucidus Turcz. ex Benth. f. hirtus (Regel) Kitag.）という変種があります。

シロネは、湿地を彩る美しい植物であると同時に、食用としても楽しめる身近な存在です。地下茎を食用とする際は、類似の植物と間違えないように注意し、適切な下処理を行ってから調理してください。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III合弁花類』、1981年、平凡社
林弥栄監修、平野隆久写真『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』、1989年、山と溪谷社
橋本郁三著『食べられる野生植物大事典（草本・木本・シダ）』、2007年、柏書房
牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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