シロボシホソメテンジクザメ

シロボシホソメテンジクザメ (Brachaelurus waddi)

シロボシホソメテンジクザメは、テンジクザメ目に属する小型のサメです。オーストラリア東部の沿岸に広く分布し、独特の生態と体の形状を持っています。このサメは、昼間は洞窟や岩棚の下などに隠れ、夜になると無脊椎動物や魚を捕食するために活動を開始します。体長は通常1メートル以下で、ずんぐりした体型が特徴です。

分類と発見の歴史

この種は1801年にドイツの博物学者によって初めて記載されましたが、最初の記載には確実性が欠けており、その後、さまざまな分類の変遷を経て現在のBrachaelurus属に位置付けられるようになりました。1973年には、ホソメテンジクザメ科に分類され、アオホソメテンジクザメとともに姉妹群を形成しています。化石記録も見つかっており、過去の生息範囲を考察する上でも重要な存在となっています。

生息地と生活圏

シロボシホソメテンジクザメはオーストラリアのクイーンズランド州南部からニューサウスウェールズ州にかけての海域に生息しています。その主な生息地は、岩礁や海草に囲まれた潮間帯から水深140メートルまでの範囲です。このサメは波の影響を受けやすい沿岸部で特に見られることが多く、底生の生活を送っています。

形態的特徴

このサメの頭部は広く、丸みを帯びた吻が特徴です。目は小さく、頑強な体表には大きな皮歯があり、灰色から茶色の体色に白点がちらほら見受けられます。成長すると、この斑点模様は薄れることがあります。胸鰭や背鰭、腹鰭は大きく、尾鰭は成魚の体長の約4分の1を占めますが、全体的には小柄な印象を与えます。

生態と行動

シロボシホソメテンジクザメは昼間は比較的静かに過ごしており、洞窟や岩の隙間に隠れて小魚や無脊椎動物を待ち構えています。夜になると活動的になり、岩礁や海草の間を泳ぎ回り、食事を探します。繁殖期には、雌は夏に7～8匹の仔魚を無胎盤性胎生で出産します。未成熟時の性比は雌がやや多い傾向があります。

人間との関係

無害な性格を持ち、通常は人に攻撃的ではありませんが、驚かされたり刺激を受けると噛みつくことがあります。飼育が容易で、家庭用アクアリウムで人気が高まっていますが、その夜行性の特性ゆえに動く姿を観察するのは難しいです。

商業漁業の対象とはならないものの、エビの漁業で混獲されることがあります。その際には水上でも高い生存率を示します。日本ではアクアワールド大洗でこのサメを見ることができます。IUCNの評価においては、その個体数は多く、捕獲圧にも影響を受けることがないと考えられ、保全状況は「軽度懸念」とされています。

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