シロモジ

シロモジ（白文字）について

シロモジ（学名: Lindera triloba）は、クスノキ科クロモジ属に分類される落葉性の低木です。日本の固有種であり、主に本州の中部地方以西、四国、九州の温暖な地域に分布しています。山地の比較的低い場所に生育し、同じクロモジ属のクロモジと比較されることが多いですが、いくつかの点で異なる特徴を持っています。

特徴

シロモジは、高さ5メートル程度まで成長する低木で、幹は根元から複数に分かれて生えることがよくあります。樹皮は灰褐色から茶褐色で、滑らかな質感ですが、小さな皮目が多数見られます。一年枝は緑色を帯びていないのが特徴です。

春には、葉の展開とほぼ同時に黄緑色の花を咲かせます。花は葉腋から伸びる散形花序に付きます。この点はクロモジと似ていますが、シロモジの枝は淡褐色であり、葉は3つから5つに深く切れ込んだ形をしている点で区別できます。また、葉脈は3本が目立ちます。秋には、直径1.3cmほどの球形の液果が実り、緑黄色に熟します。

葉は、三裂から五裂するのが一般的ですが、切れ込みがない場合もあります。裂け目の底には、小さなポケット状の隙間があるのが特徴です。葉の質感は洋紙のようで、表面は無毛ですが、脈に沿って毛が生えています。秋には黄色く紅[[葉]]しますが、時には橙色や淡い赤色を帯びることもあります。

冬芽は、枝先に仮頂芽が、側芽は互生します。葉芽は紡錘形をしており、花芽は短い柄を持つ球形で、葉芽の基部から横向きに下向きにつきます。

利用

シロモジは、その丈夫さから、かつては杖などに利用されていました。また、熟した果実の種子から油を絞り、その油を灯油として利用していました。枝葉にはクロモジほどではありませんが特有の芳香があり、水蒸気蒸留で精油を抽出することも可能です。

近年では、その美しい黄葉が評価され、庭木用の苗木が販売されています。紅[[葉]]の美しさから、庭園や公園に植えられることもあります。

種の保全状況評価

シロモジは、一部の地域でその生育が脅かされており、以下の都道府県でレッドリストに指定されています。

絶滅危惧IA類 - 東京都西多摩
絶滅危惧IB類 - 静岡県
絶滅危惧II類 - 鹿児島県
準絶滅危惧 - 島根県

これらの地域では、シロモジの保護と生育環境の保全が求められています。

参考文献

佐竹義輔、亘理俊次、原寛、冨成忠夫（共編）『日本の野生植物』 大木I、平凡社、1996年6月。ISBN 4582535046。
鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、234頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
林将之『紅[[葉]]ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8。

外部リンク

シロモジ　（独立行政法人森林総合研究所関西支所）
* シロモジの標本（四国で1982年7月30日に採集）　（千[[葉大学]]附属図書館）

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