シンジェンタ

シンジェンタグループ：世界をリードするアグリビジネス企業

シンジェンタグループは、スイスに拠点を置く多国籍企業であり、農薬と種子を主力とするアグリビジネスにおいて世界的な地位を確立しています。農薬業界では世界最大手、種子業界でもモンサント、デュポンに続く世界第3位の規模を誇り、2019年度には約230億ドルの売上高を記録しました。その事業は世界約100カ国に広がり、49000名を超える従業員が働いています。スイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場しており、グローバルなネットワークと高い財務基盤を有しています。日本法人はシンジェンタジャパン株式会社（東京都）です。

歴史：ノバルティスとゼネカからの統合とグローバルな成長

シンジェンタグループの歴史は2000年に始まります。ノバルティスのアグリビジネス部門と、当時存在していたゼネカ（現アストラゼネカ）のアグリケミカル部門が統合し、世界初のアグリビジネス専門企業として誕生しました。その後、積極的な買収戦略を展開し、2001年には日本のトモノアグリカ、2004年には北米の穀物メーカーであるアドバンタ、ガース、ゴールデンハーベストなどを傘下に収めました。

シンジェンタは遺伝子技術を用いた品種改良にも積極的に取り組んでおり、遺伝子組み換え作物（GMO）の開発・販売も手がけています。このため、GMO栽培を禁止するスイスの方針と対立することもありました。2007年にはカナダの『Maclean's』誌で「Canada's Top 100 Employers」に選出されるなど、企業としての高い評価を得ています。

しかし、シンジェンタの歴史には、ブラジルにおける2007年の抗議運動という暗い影も存在します。土地を持たない小作農の抗議活動に対し、シンジェンタが雇用した警備会社が関与したとされる事件です。シンジェンタ側は関与を否定しましたが、事件の真相は完全には解明されていません。

2008年には、熱帯気候下でも栽培可能な新種のテンサイの開発でワールドビジネス＆ディベロップメント賞を受賞。2009年には『サイエンス』誌の「Top 20 Biotechnology and Pharmaceutical Employers」に選出されるなど、研究開発における高い評価も受けています。2016年には中国化工集団公司による買収が完了し、新たな体制の下で事業を展開しています。

製品：多様な農薬と種子による世界的な食糧生産への貢献

シンジェンタは、世界各国で幅広い製品を販売しています。2003年時点では、売上高の半分以上が選択的除草剤と殺菌剤を占めていました。主要製品には、選択的除草剤、非選択的除草剤（アトラジン、タッチダウンiQ、プリグロックスLなど）、殺菌剤（アゾキシストロビンなど）、殺虫剤、種子（穀物、野菜、花卉など）が含まれます。競合他社としては、モンサント、BASF、ダウ・アグロサイエンス、バイエルクロップサイエンス、デュポンなどが挙げられます。

シンジェンタ財団と農業支援：持続可能な農業への貢献

シンジェンタは、シンジェンタ財団（Syngenta Foundation、別名シンジェンタ持続可能農業財団）を通じて、世界の農家を支援しています。同財団は、半乾燥地域における地方コミュニティの生産性向上を目的としています。シンジェンタは、フィリピンの農業支援プロジェクトであるFarmer Support Team (FST) と協力し、総合的病害虫管理 (IPM) や総合的作物管理 (ICM) などの指導を通して、フィリピンの農家の収量向上に貢献しています。

シンジェンタグループは、農薬や種子の提供にとどまらず、農業支援プログラムを通じて、世界の食料生産と持続可能な農業の発展に貢献し続けています。今後、更なる技術革新とグローバルな展開を通して、世界の食料安全保障に貢献していくことが期待されます。

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