シーナカリン

シーナカリン王太后の生涯と業績

シーナカリン＝ボーロマラーチャチョンナニー王太后、またはシーナカリン王太后は、1900年10月21日にタイ王国のトンブリーで華僑の金細工職人の娘として誕生しました。彼女は、タイの歴史において重要な女性の一人であり、国王ラーマ8世およびラーマ9世の母として広く知られています。国際的には「シーナカリン王太后（Princess Mother of Thailand）」と呼ばれ、特に北部の山岳民族からは「ソムデット・ヤー」（祖母陛下）と親しまれています。

若き日のシーナカリン

シーナカリン王太后は、9歳で両親を失い、ペッチャブリーラーチャシリントーン王女の宮女としての生活を始めます。彼女はサットリーウィッタヤー学校に通い、やがて16歳でシリラート病院に看護師として勤め始めました。この頃に得た経験は、後の慈善活動に大きな影響を与えることになります。その後、アメリカに留学し、そこでソンクラーナカリン王子と出会い、20歳の時に結婚しました。彼女にはカンラヤーニワッタナー王女、アーナンタマヒドン王子、プーミポンアドゥンラヤデート王子という三人の子どもがいます。

王室生活と政変

1929年にソンクラーナカリン王子が急死すると、シーナカリンは義母のシーサワリン妃の住むサラパトゥム宮殿に身を寄せることになります。その後、ラーマ7世の退位を経た1935年に、彼女の息子アーナンタマヒドン王子が国王に即位し、彼女は国王の母としての新たな役割を担うこととなります。即位時の彼女はその重責に心を痛めていたとされ、「私が国王の母にふさわしくないのであれば、政府に別の人を選んでもらってください」との書簡を残すなど、心の葛藤があったことが記録されています。

シーナカリン王太后の影響力

アーナンタマヒドンが即位してラーマ8世となった後、シーナカリン王太后は家族と共にスイスのローザンヌに移り住みます。その後、ラーマ8世が不慮の事故に遭い、弟のプーミポンがラーマ9世として即位します。1960年にはラーマ9世とシリキット王妃がヨーロッパに滞在中、シーナカリン王太后が一時的に政務を代行しました。

終末の活動

シーナカリン王太后は晩年、特にタイの北部に強い関心を持ち、ドーイ・トゥンの地域で国境警備隊の名誉隊員として活動しました。彼女は山岳民族を訪ね巡り、無料で山岳地域を巡回する医師たちの活動を支援し、多くの慈善事業にも深く関与しました。ドーイトゥン宮殿を建設し、そこを訪れることも楽しみの一つとしていたと言われています。

1991年には健康を損ね、1995年に84歳で逝去しました。彼女の葬儀は1996年に執り行われ、遺骨はワット・ラーチャボーピットに埋葬されています。また、1993年には彼女を記念するためにソムデットヤー公園が開園しています。

シーナカリンにちなむ日本

シーナカリン王太后の名は、タイ国内の様々な公共団体や地名、例えばシーナカリン通りやメーファールワン郡、メーファールワン大学などに今も残されています。彼女の遺した功績は、今もタイ社会の中で生き続けているのです。

もう一度検索