シーバード

シーバード：伝説的名馬とその血脈

シーバードは、1962年生まれのフランス産競走馬にして、後に種牡馬としても名を馳せたサラブレッドです。その競走馬としての輝かしい功績は、凱旋門賞とエプソムダービー制覇という、まさにサラブレッド界の頂点と言える偉業によって象徴されます。イギリスのタイムフォーム誌によるレーティングでは、当時史上最高の145ポンドという高い評価を得ており、その実力の高さがうかがえます。

生い立ちと競走馬時代

フランスの実業家ジャン・テルニンク氏の所有する牧場で生まれたシーバード。父は5勝を挙げたものの、大レースでの勝利経験のないダンキューピッド、母は未勝利馬のシカラードです。母シカラードはシーバードを含め3頭の仔を産んだ後、食用にされたという事実が、シーバードの成功をより際立たせます。

調教師エティエンヌ・ポレの指導の下、シーバードは1964年9月にデビュー。デビュー戦を僅差で制すると、続くクリテリウムドメゾンラフットでも勝利を収めます。その後、グラン・クリテリウムでは惜しくも2着となりますが、この年の2歳フリーハンデではトップクラスの評価を獲得しました。

翌1965年、シーバードはイギリス遠征を目指し、グレフュール賞、リュパン賞と主要レースを連勝。特にリュパン賞では、後のアメリカ遠征での活躍馬なども含む強豪を相手に圧勝し、ダービーステークス出走への期待を高めました。

そして迎えたエプソムダービー。大きな期待を背負ったシーバードは見事勝利を収め、イギリスの新聞から「一流馬を、まるで乗馬クラブの去勢馬のようにあしらった」と評されるほどの圧巻の走りを見せました。

帰国後、シーバードはサンクルー大賞を制覇し、凱旋門賞へと挑みます。この年の凱旋門賞は、各国のダービー優勝馬やアメリカからの遠征馬など、超豪華メンバーが揃ったといわれています。レースでは、終盤で激しい競り合いを繰り広げますが、シーバードは最後は6馬身差をつけて勝利。この年、フランスの3歳フリーハンデでもトップの評価を得て、ヨーロッパ年度代表馬にも選出されました。

種牡馬時代とその後

凱旋門賞を最後に競走馬を引退したシーバードは、種牡馬として新たなキャリアをスタートさせます。アメリカで7年間繋養された後、フランスへ帰国しますが、1973年、腸閉塞のため急死するという悲劇に見舞われました。

しかし、その短い種牡馬生活でシーバードは多くの名馬を輩出しました。フランス牝馬三冠馬アレフランス、アメリカ二冠馬リトルカレントなど、その子孫は現代の競馬界においても重要な血統として受け継がれ、シーバードの血脈は、ジョッケクルブ賞や凱旋門賞を舞台にその名を轟かせる馬たちを生み出し続けています。

シーバードの競走成績、その華麗な走り、そして惜しまれる早すぎる死、そして今もなお続くその血統の偉大さは、競馬史に永遠に刻まれるでしょう。フランス人騎手オリビエ・ペリエが「乗ってみたかった馬」にシーバードを挙げたという逸話も、その魅力を物語っています。シーバードは、単なる名馬という枠を超え、競馬界の伝説として語り継がれる存在なのです。

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