レム

レム (rem) とは

レム（rem）は、放射線が人体に与える生物学的な影響を表す線量当量の単位です。具体的には、放射線が人体に吸収されたエネルギー量（吸収線量）に、放射線の種類によって異なる生物学的効果比率（RBE）を掛け合わせて算出されます。この単位は「roentgen equivalent in man and mammal」の略称であり、かつては放射線防護の分野で広く用いられていました。

線量当量とは

線量当量とは、放射線が人体に与える生物学的な影響を考慮した量です。同じ吸収線量でも、放射線の種類によって人体への影響が異なるため、線量当量の概念が用いられます。例えば、X線の線量当量は、吸収線量1ラドに対して1レムと定義されます。他の放射線については、RBEを考慮して線量当量が算出されます。

シーベルトとの関係

現在では、線量当量の単位として、国際単位系（SI）のシーベルト（Sv）が広く用いられています。1シーベルトは100レムに相当し、1レムは0.01シーベルトです。レムは、放射線による人体への影響を初期に研究する際に使用されていた単位ですが、より普遍的で国際的な単位であるシーベルトに置き換えられる傾向にあります。

レムの算出方法

レムは、以下の方法で算出できます。

吸収線量からの算出:
吸収線量（単位はラド）に、放射線の種類ごとに定められたRBEを掛けます。X線のRBEは1であり、この場合、吸収線量1ラドが線量当量1レムに相当します。
照射線量からの算出:
照射線量（単位はレントゲン）に、放射線の種類とエネルギーによって定められる重みづけ係数（rW）を掛けます。rW=1のとき、1レムは約1.07185レントゲンに相当します。

レムの単位としての位置付け

レムは、MKS[[単位系]]でもCGS[[単位系]]でもないため、SI単位ではありません。SI単位では、線量当量にはシーベルトが用いられます。

レムは、日常的な放射線量を表すには大きすぎるため、かつては1000分の1のミリレム（mrem）が用いられていました。

計量法における位置付け

日本では、計量法において、キュリー、ラド、レントゲン、レムの4つの単位が、放射能の計量単位として法定[[計量単位]]として認められています。ただし、これらの単位は、計量制度審議会の資料（2005年）において「暫定的使用」と位置づけられており、SI単位であるシーベルトへの移行が進められています。

まとめ

レムは、放射線が人体に与える影響を表すための単位として、過去には広く用いられてきました。現在では、シーベルトが主流となっていますが、レムも計量法上は暫定的に使用が認められています。放射線に関わる際には、これらの単位の違いを理解しておくことが重要です。

関連項目

シーベルト
国際[単位系]

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