ジェイムズ・ダグラス (第2代クイーンズベリー公爵)

第2代クイーンズベリー公爵ジェイムズ・ダグラス

第2代クイーンズベリー公爵ジェイムズ・ダグラス（1662年 - 1711年）は、名誉革命後のスコットランド政界で重要な役割を果たし、スコットランドとイングランドの連合を定めた1707年連合法の成立に貢献した政治家、貴族です。

生涯

1662年、後の初代クイーンズベリー公爵ウィリアム・ダグラスの長男として生まれました。グラスゴー大学で学んだ後、グランドツアーを経て1684年に帰国。スコットランド枢密顧問官に任じられ、騎兵連隊の中佐となります。早くからウィリアム3世を支持し、名誉革命後にその地位を確立しました。

当時、クイーンズベリー公爵はスコットランドで大きな勢力を持つ四大貴族の一人であり、ウィリアム3世は彼の勢力を利用してスコットランドを統治しようとしました。1692年からスコットランド大蔵卿委員会の委員となり、1693年には大蔵卿としてスコットランド議会に出席。1695年に父の死によりクイーンズベリー公爵位を継承し、スコットランド王璽尚書に就任しました。彼はイングランドとの連合を目指し、ジョン・ダルリンプルを国務大臣に据えました。

しかし、グレンコーの虐殺などにより、スコットランド議会には国王やイングランドに対する拒絶感が強く、クイーンズベリー公爵らの「宮廷派」は安定多数を得ることができませんでした。1702年にイングランドとの連合交渉に乗り出した際にも激しい反発を受けました。

アン女王の時代にも官職にとどまりましたが、スコットランド政界での孤立が深まり、1704年にはジャコバイトの陰謀に関与したとして免職されます。しかし、1705年に疑惑は晴れ、再びスコットランド王璽尚書に就任。1706年にはイングランドとスコットランドの連合推進委員に任命され、連合法の成立に尽力しました。彼は議員の買収に励み、賛成派を増やして1707年の連合法成立に大きく貢献したことから、「連合公爵」とあだ名されました。

1708年にはグレートブリテン貴族爵位のドーヴァー公爵に叙せられ、1709年にはスコットランド担当大臣に就任しました。1711年に死去。

爵位の継承

彼の死後、次男のジェイムズ・ダグラスが爵位を継承するはずでしたが、彼は精神障害者であり、人肉を食らう殺人者であったため、特別継承権の規定が設けられました。その結果、クイーンズベリー侯爵位を除く爵位は三男のチャールズ・ダグラスが継承。クイーンズベリー侯爵位は次男ジェイムズが継承しましたが、彼に子供がいなかったため、最終的には三男チャールズが全ての爵位を継承しました。

栄典

クイーンズベリー公爵は、以下の爵位を保持していました。

クイーンズベリー公爵
クイーンズベリー侯爵
ダンフリーズシャー侯爵
クイーンズベリー伯爵
ドラムランリグ＝サンクアー伯爵
ドラムランリグ子爵
ニス＝トーソルウォルド＝ロス子爵
ホーイック＝ティバーズのダグラス卿
キルモント＝ミドルビー＝ドーノックのダグラス卿

1708年には以下の爵位を新たに授与されています。

ドーヴァー公爵
ビバリー侯爵
リポン男爵

これらの爵位は、いずれも三男チャールズに継承させる特別継承権が付けられていました。

家族

1685年にメアリー・ボイルと結婚し、4男5女を儲けました。

長男：ウィリアム・ダグラス（夭折）
次男：ジェイムズ・ダグラス（第3代クイーンズベリー侯爵、人肉食の殺人者）
三男：チャールズ・ダグラス（第3代クイーンズベリー公爵）
四男：ジョージ・ダグラス
長女：イザベラ・ダグラス（夭折）
次女：エリザベス・ダグラス（夭折）
三女：メアリー・ダグラス（夭折）
四女：ジェーン・ダグラス（第2代バクルー公フランシス・スコットと結婚）
* 五女：アン・ダグラス（庶民院議員ウィリアム・フィンチと結婚）

ジェイムズ・ダグラスは、激動の時代に生きた政治家であり、スコットランドとイングランドの歴史に大きな影響を与えました。

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