ジェイムズ・マクファーソン (詩人)

ジェイムズ・マクファーソン

ジェイムズ・マクファーソン（1736年10月27日 - 1796年2月17日）は、スコットランド出身の作家、詩人、文芸収集家、政治家である。彼はケルト文学の紹介者として知られるが、現代では偽書捏造者という批判も受けている。特に彼が編纂したオシアンに関する作品は、古代のケルト文学とされているが、実際には彼自身の創作によるものという見解が広がっている。

初期の人生と教育

マクファーソンはインヴァネス州バデノックのキングシーで生まれた。彼の家族は教育に重視しており、1753年にオールド・アバディーンのキングス・カレッジに入学。その後マーシャル・カレッジへと移った。その後エディンバラに移るも、学びの詳細は不明である。彼は学生時代に4000行以上の詩を執筆したとされ、1758年には『The Highlander』という詩が出版されたが、後に発売禁止を試みたと言われている。

ゲール語詩の収集と作品の発表

大学卒業後、マクファーソンは母国で教職に就く。また、彼が関わったトマス・グラハムという人物の家で著名な詩人ジョン・ホームと出会い、彼の助けを借りて古い詩を集めることを決意した。その結果、1760年に『Fragments of Ancient Poetry』として、ハイランド地方で収集した古代の詩の断片の「翻訳」を発表。この小冊子により、彼の独特な散文スタイルが認知されることとなる。

『オシアン』とその批判

1761年、マクファーソンは古代の英雄詩人オシアンが作成したという叙事詩『フィンガル』を発表し、続けて1765年には『オシアン詩集』を出版。これらの作品は瞬く間に人気を博したが、同時に批判も浴びることになった。サミュエル・ジョンソンをはじめとする批評家たちは、彼の作品が実際には古い詩に基づいていない捏造であると強く指摘した。このいわゆる「オシァン関係論争」は、彼の死後も続くこととなる。

政治家としてのキャリア

1764年、マクファーソンは西フロリダ植民地の総督の秘書へと昇進し、その後は政府の御用作家としての職務を果たした。彼は歴史書の執筆や政治的な活動に従事し、特に彼自身の伝記的要素を含む著作が知られている。1790年にはキャメルフォード選挙区から庶民院議員として当選したが、議会での演説は行わなかった。

遺産と評価

マクファーソンの死後、彼の作品は様々な形で評価され続けたが、特にオシアンの叙事詩は彼の主張が偽書であるとの意見も少なくなかった。しかし、同時に彼はスコットランド文学における重要な人物として位置付けられ、ヨーロッパ文学、特にドイツのロマン主義文壇に影響を与えた。

彼の作品は、著名な作家たちに新たなインスピレーションを与えた。ゲーテやヘルダーも彼の作品に賛同し、特にゲーテは『若きウェルテルの悩み』にマクファーソンの影響を反映させた。

現代における評価

今日において、マクファーソンの作品はその真偽を巡る議論を除けば、今もなおスコットランド文学の重要な一部として受け入れられている。彼の創作スタイルや詩的感性は、現代の詩人たちにも影響を及ぼしており、特にケルト文化の理解を深める材料としての価値が認識されている。

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